事業多角化で収益力高める

 組み込みソフトウェア開発に強いコア(井手祥司社長)は、自社プロダクト事業を拡大させる。デジタルテレビ向けの電子テロップシステムが今年度(2008年3月期)好調に受注を伸ばしているほか、超高感度GPS(全地球測位システム)チップが新しく戦力に加わった。これまで受託型のソフト開発の比率が8割余りを占めてきた。自社プロダクトをベースとしたビジネスを拡大することで事業の多角化を進め、収益の安定化を目指す。

 プロダクト事業に力を入れるのは、受託型のソフト開発の依存度が大きすぎることが背景にある。これまで順調に拡大してきた主力の組み込みソフトでは、携帯電話やデジタル家電などの一部で需要が頭打ちになるなどの異変が起き始めた。今年度は「ここ数年では初めて」(井手社長)と、組み込みソフト事業で減益になる見通し。

 このため、他社と差別化しやすい自社プロダクト事業を拡大させることで、競争力を高める。

 昨年度の自社プロダクトの売上高構成比は約15%だったが、今年度はグループ会社のラムダシステムズが開発するデジタルテレビ向けの電子テロップシステムなどが好調に推移。今期の見込み連結売上高264億円に占める同比率も18%に高まる見通しだ。

 さらに、3年の期間と10億円規模を投じて開発してきた超高感度GPSチップの商談も立ち上がり始めた。デジタルカメラやカーナビ向けの組み込み用に引き合いが増えており、今期は初めて約60万ドル(約6600万円)程度の本格的な売り上げが立つ見通し。民生用では世界最高水準の精度を誇っており、「向こう3年間で少なくとも20-30億円の商談がGPS関連で期待できる」という。

 同業他社でも自社プロダクトに力を入れる動きが出始めている。ライバルの富士ソフトは携帯電話やデジタルテレビ向けの独自ミドルウェアパッケージの製品化を急ピッチで進める。これに対して、コアはGPSチップやドライバソフトなど、「よりハードウェアに近い分野に軸足を置くことで差別化を図る」と、組み込みソフト領域における得意分野を明確化することで勝ち残る考え。

 コアは来年度からの3か年中期経営計画で自社プロダクトの拡充を重点施策の1つに位置づける。最終年度の2010年度までには、グループ全体の連結売上高を400-500億円に増やしたうえで、自社プロダクトの売上高構成比を30%に高める。

 受託型のソフト開発で多少の変動があっても、自社プロダクトで下支えできる体制を築くことで、収益力を強化していく方針だ。