三菱総合研究所(MRI)グループでSIerの三菱総研DCS(後藤明夫社長)は、収益モデルの改革を加速する。大口顧客であるメガバンクの基幹業務システムの統合案件が年内にも終息へと向かうなか、新しい収益の柱を早期に打ち立てる必要に迫られているからだ。強みの金融業のノウハウを生かした横展開や科学技術分野に強いMRIとの相乗効果、提携関係にある三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の法人顧客のより一層の開拓などに取り組むことでビジネスを伸ばす。

 三菱総研DCSは、2005年にMRIの連結子会社になった。以来、MRIとのシナジー効果を高めながら急成長。04年3月期の連結売上高が約330億円に対して、直近の07年9月期(MIRグループ入り後に決算期を9月に変更)は同490億円余りに拡大した。年率平均およそ10%の伸びで、早い段階でMRIグループ全体での年商を1000億円規模に増やす強気の計画を立てる。

 だが、主力の金融業向けSIでは、三菱東京UFJ銀行の基幹システムの統合案件が年内にも段階的に縮小する見通しであるなど逆風も吹く。これまでは既存ビジネスをベースに伸びてきたとみられるが、「新しい事業の柱はまだ十分育っていない」(後藤社長)と危機感を抱く。今年度から新規事業の企画を担当する部門をつくるなど、収益モデルの改革を急ぐ。

 売上高の約6割を金融関連が占めるなど金融業に強いが、その一方で同分野への過度の依存は潜在的なリスクになる可能性もある。これを受けて科学技術分野を得意とするシンクタンクのMRIとの連携をより一層強化することや、MUFGの持つ法人顧客に向けたITソリューション・サービスの提供など、産業分野にも積極的に進出する。

 「金融で培ったノウハウは、産業分野でも生かせる」と、財務や会計を切り口としたITシステムで差別化を図る。昨年10月には三菱レイヨンの情報システム子会社と資本業務提携を結ぶなど、三菱グループへの展開も進める。

 総研系のSIerでは野村総合研究所(NRI)が先行する。年商規模だけで比べるとNRIグループにはまだ及ばないものの、銀行システムや科学技術分野などライバルにはない強みを持っている。SEのスキルアップにも力を入れるなど、「成長なくして生存なし」をスローガンに、事業改革を推進していくことで事業拡大を目指す。