動画投稿サイトの「ニコニコ動画」などを運営するドワンゴ(小林宏社長)グループは、2009年をめどにユーザー数を倍増させる。昨年から本格的に立ち上がってきたニコニコ動画のユーザー数が直近で560万人を突破。ドワンゴの携帯電話向けコンテンツ配信サービスの利用者数などを合わせると1000万人規模になった。ニコニコ動画のユーザー数が急増する見通しであることから来年にはグループ全体のユーザー数が2000万人規模へと倍増する見通しを明らかにした。

 ニコニコ動画は、月額525円の有料会員と無料会員の2種類がある。有料会員はアクセスが混雑する時間帯でも快適に動画を見ることができたり、投稿できる動画の容量が多いなどの特典がある。だが、会員数は約20万人と全体の伸び率に比べて鈍い傾向がみられる。有料会員の会費は広告やアフィリエイト販売などと並ぶニコニコ動画の重要な収益の柱であるものの、「無料会員でも快適に動画が見られるよう配慮する」(グループ会社でニコニコ動画を運営するニワンゴの杉本誠司社長)ことで、会員拡大につなげる。

 動画投稿サイトはYouTube(ユーチューブ)やzoome(ズーミー)など国内外での競争が激しさを増す。ニコニコ動画では、「今はまだユーザーのすそ野を広げる段階」(小林社長)であるとし、会員登録の敷居をあえて低くすることで競争に打ち勝つ考え。急増する会員数に対応するためサーバーやネットワーク機器の増設、技術者の増員などコストも膨れる。当面は単月黒字化を念頭に置きつつも、「これまでの累計投資額すべてを回収するのは、まだ先でいい」(同)と、先行投資によって優位に立つことを重視する。

 3月5日には高画質の最新動画フォーマット「H.264」に新しく対応するなどのリニューアルを行った。課題である著作権問題については、著作権に抵触する動画を削除する方針を徹底するとともに、日本音楽著作権協会(JASRAC)など権利者との話し合いを継続。「著作権問題の根絶に引き続き力を入れる」(ニワンゴ取締役の西村博之・管理人)としている。

 ニコニコ動画を巡っては、電子の歌姫で大ヒットした初音ミクの事実上の活動拠点になるなど、サブカルチャーの発信基地として、ネット内外への文化的影響力も高まっている。日本のコンテンツ産業の一翼を担うことで、着メロやフィギュアなど関連ビジネス波及効果も狙っているものとみられる。