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エプソン販売 特定用途販売を本格展開 流通、医療、建設など向けに

2008/04/14 20:58

週刊BCN 2008年04月14日vol.1231掲載

 エプソン販売(平野精一社長)は、流通、医療、建設などをターゲットにした特定用途向け販売を本格化する。国内の一般OA市場が減速するなかで、レーザーやインクジェット、電子写真、サーマルなどの豊富な自社プリンタ製品群などを組み合わせ特定用途向けに「ソリューション販売」できる体制にする。今年度(2009年3月期)からは、昨年度までの製品別組織を改め、販売会社別に部署を配置し、業種・業態や用途に応じたチャネル展開を促進する。今年度は、特定用途向けを伸ばすことなどで昨年度並みの売上高を目指す。

 同社は昨年度(08年3月期)に販売会社と一緒にユーザー企業を巡回し、プリンティングニーズの洗い出しを行った。これらのデータを基に、同社製品群を活用して、特定用途の利用が多い流通、医療、建設などにターゲットを定め、個別の「プリンティングソリューション」の構築を進めている。

 例えば、「小売店のバックヤードで利用する厚紙封筒の印刷は、さまざまな用紙に印字できるインクジェットが最も適している」(小野潤司・プロダクトマーケティング部部長)と認識したことなどだ。

 こうした用途を見つけて自社製品を組み合わせたソリューションをつくり、これまで関係性の薄かった大手メーカー系列のSIerなどのチャネルへ展開する。

 一般OA市場はここ数年、大規模システムを入れ替える案件が減少している。これに伴ってプリンタの買い換えサイクルが長期化しつつある。また、システム再構築の際には、印刷ボリュームを減らす目的でデジタル複合機(MFP)を導入し、全体最適化を図る企業が増えてきたことも近年の傾向だ。このため、シングル機を主力とする同社は、医療向けのラベル印刷機メーカーなどとも協力して、自社プリンタと組み合わせたプリンタ環境の提案に力を入れようとしている。

 また、同社は4月1日付で組織を改編した。これまでは、プリンタの種類別に部署を置く“縦割り”組織だった。今後は、SIerや販売会社、特定用途向け印刷機メーカーとその系列販売会社などに営業やマーケティング、プロダクト担当者を配置する“横断的”部署にした。

 「顧客ニーズにマッチした特定用途のソリューションを提供することで、一般OA分野のマイナス分を補填できるはず」(小野部長)と、全体の売上高は昨年度並を維持することを見込んでいる。
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