「モノづくり」「ヒトづくり」の原点に――。約2000人のSEを抱える富士通システムソリューションズ(Fsol、聖五社長)が、ソフト品質と人材育成強化の新プランを今年度(2009年3月期)からスタートさせている。顧客の現場を知るための体験学習や、定年退職後までを想定した長期キャリアプランの立案などがそれで、開発したソフトの信頼性とSEの“やる気”を引き出すことが目的。社会的ITインフラのトラブル続発でソフトの信頼性が問われ、SEの慢性的な長時間労働や学生の人気低迷が叫ばれるソフト業界。一石を投じようと富士通グループで最大規模のSEを保有する同社が地道な活動を始めている。

 新施策は社長が主導して今年度からスタートさせた。Fsolは来年4月2日で設立30周年を迎える。「節目の年にソフト開発企業としてもう一段成長するため」(社長)の基盤づくりがプランの狙いだ。①開発したソフト・システムの品質向上(=モノづくり)②SEの職場環境改善とモチベーションアップ(=ヒトづくり)という、ソフト開発企業にとって基本的な経営基盤の強化をコンセプトにし、原点を見つめ直すというわけだ。

 「モノづくり」強化では、ユーザー企業の業務現場を知る取り組みを始めた。例えば、顧客の現場にSEが出向き、実際に作業を行って仕事を学ぶ。POSレジ関連システムを納入したユーザー企業ではFsolのSEがレジ打ちを自ら行ったり、キオスク端末や生体認証装置開発の富士通フロンテックにSEを派遣して製造現場を把握させたりなどの活動をスタートさせている。「現場を知らなければ要望に沿ったソフトも高品質のシステムもつくれない」(社長)という考えから体験学習を取り入れた。

 一方「ヒトづくり」では、各SEの現在のスキルレベルを独自のフレームワークに当てはめマッピング。その結果をもとに、各SEと上司が5-20年先までを見越したキャリアプランを作成する取り組みを始めた。SEによっては、定年退職後も働けるようなスキル習得プランなども考えるという。すでに全SEの現状スキル分析を終え、今後教育プラン作りに着手するという。このほか富士通との人材交流によるスキルアップ施策や、外注先と自社で開発する工程を再度精査して、自社SEのスキルアップに貢献しそうな分野はアウトソーシングせずに内製化する新たな区分方法も取り入れ始めた。

 社長は、「品質低下とSEのモチベーション低下は業界全体の慢性的な課題。約2000人のSEを抱えるだけに、この課題を解決して次のステップとしたい」と今回の狙いを語っている。