販売チャネル広げる

 ソフトベンダーのAHS(尾形友秀CEO)が売り上げを伸ばしている。ユーザー参加型メディア(CGM)需要を巧みに取り込んだことが功を奏した。今年度(2009年5月期)は、CGM需要を追い風に、販売チャネルを拡充させることで、前年度比1.5倍近い売上増を見込む。同社が主力とする動画や音楽の編集ソフトは、これまで一部のヘビーユーザーが需要の中心だったが、動画投稿サイトの盛り上がりで一般ユーザーに浸透。このタイミングで販売攻勢をかけることでビジネス拡大を狙う。

 ニコニコ動画やYouTubeなど動画投稿サイトのユーザーが増えたことで、音楽やFlash、動画編集ソフトなど同社の主力製品群の1つであるクリエーター向け制作ツールの需要が拡大している。今年度第1四半期(08年6-8月期)は、既存製品ベースで前年同期比プラスで推移する見通し。「需要が拡大している」(尾形CEO)と、手応え十分な様子だ。

 これまで一部の上級ユーザーが購入していたFlashや音楽制作などクリエーター向けの製品を、一般ユーザーが購入するケースが増加。こうしたことから、パソコン販売店で動画や音楽関連の販売に力を入れる動きがみられる。同社では、首都圏を中心に営業活動を展開してきたが、今年度は西日本地区の販売店で取扱量を増やしてもらうよう働きかけを強化。販売増に結びつける。

 Flash動画制作「Free Motion」は、通常版で1万円弱とFlashの開発元であるアドビシステムズの製品より廉価に設定。また、音楽制作ソフト「Music Maker」も同1万5000円弱で同種のソフトより価格を抑えた。普及価格帯に設定することで、市場の創出を加速させる。「Music Maker」は、07年12月の発売後、すでに1万本を販売。通常、この種のソフトは数千本売れれば合格点といわれるが、「今も販売の勢いは衰えていない」と、鼻を高くする。

 例えば、ニコニコ動画のID登録数はおよそ800万件に達しており、仮に実際に動画を制作するユーザーが1割程度だとすれば、ターゲットとなるユーザー数は80万人規模。ターゲットが具体的に見えてきたことで、マーケティング活動も行いやすくなる。ニコニコ動画やYouTubeの盛り上がりは、「ビジネスにプラスに働く」と、販売攻勢に力を入れる。

 一方、動画を視聴するユーザーに向けた販売にも力を入れる。「CloneDVD mobile」は、動画を携帯電話やゲーム機などモバイル機器で視聴できるようにするダビングソフトで、販売数が急増。従来はDVDビデオなどを単純にダビングする「CloneDVD」が売れ筋だったが、モバイル機器用に変換してダビングする需要が拡大している。制作ツールだけでなく、視聴を楽しむツール群も拡充させることで、ターゲットとするユーザー層の幅を広げる。

 今年度(09年5月期)は、市場活性化の追い風と西日本への販売チャネルを拡充することで、前年度比1.5倍近い4億円の売上高を目指す。