ソフトベンダーのクリプトン・フューチャー・メディア(伊藤博之社長)の業績が好調だ。電子の歌姫で一躍ヒットしたボーカロイド製品「初音ミク」に続き、同シリーズの「鏡音リン・レン」の好調な売れ行きで、昨年度(2008年6月期)売上高は前年度比約2倍のおよそ10億円に達した。今年10-11月をめどに新しいボーカロイドシリーズを投入する予定で、今年度売上高は前年度比1-2割増を見込む。

 昨年8月に初音ミクを投入するまでは、主力のDTM(デスクトップミュージック)向け音源ソフト販売が約6割、携帯電話向けコンテンツが約4割という売上高構成比だったが、昨年度は初音ミクなどのボーカロイドシリーズ関連が売上高の約3割を占めるまで拡大。音源が4割、携帯向けが3割の構成比となった。ボーカロイドは歌声のみであるため、楽曲として完成させるためには別途音源ソフトが必要。このため、同社製の音源ソフトの販売拡大にもつながった。

 課題もある。今後、継続的に「初音ミク級のヒットを飛ばせるか未知数」(伊藤社長)。キャラクターや声質に対するユーザーの要望はさまざまで、販売見通しが立てにくい傾向がある。初音ミクはDTM関連ソフトとしては異例の約4万本の販売を記録。続く鏡音リン・レンは今のところ約2万本。鏡音~はマイナーバージョンアップ版を7月に投入していることから、今後さらに販売本数が伸びる見通し。

 また、同社が運営するピアプロなどユーザー参加型メディア(CGM)の活用やビジネス化も道半ば。ボーカロイドはDTMユーザーだけでなく、ピアプロやニコニコ動画などCGMユーザーの支持が不可欠だ。ユーザーを巻き込み、あるいはユーザーと一体となってヒット作を制作する体制づくり、ビジネスモデルの確立が求められている。