ニュース

クリエイティブ・コモンズ ライセンスの採用サイトが増加 ローカライズで普及促進も

2008/09/01 21:08

週刊BCN 2008年09月01日vol.1249掲載

 クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスの考え方を採り入れたサイトが増えている。国内最大の動画投稿サイトのニコニコ動画は、「ニコニ・コモンズ」をスタート。自社のサービスに馴染むようCCライセンスをカスタマイズしたもので、「ニコニコ動画のユーザーの使い勝手に重点を置く」(運営元のニワンゴ・木野瀬友人取締役)制度に仕上げた。クリエーターやコンテンツホルダーがビジネスを行える仕組みも採り入れた。

 CCライセンスは、ニフティやNTTレゾナントなどが運営する動画投稿サイトですでに採用されている。ここへきて、国内最大手のニコニコ動画がCCライセンスの考え方を採り入れたことで、従来の著作権に対する捉え方の変化が加速する可能性が出てきた。

 著作権の一部をユーザーに開放して、二次的、派生的な創作活動を行いやすくするのがCCライセンスの考え方である。電子の歌姫「初音ミク」を開発したクリプトン・フューチャー・メディアが運営するピアプロも、すでにCCを参考にした「ピアプロ・ライセンス」を適用しており、これまで曖昧な部分があった著作物の利用方法を明文化。ユーザーの創作活動を支援するツールとして機能し始めている。

 ただし、ニコニコ動画やピアプロは、CCライセンスを参考にしながらも、独自にカスタマイズしている。CCライセンスはグローバルでの汎用性を追求するあまり、国内の特定ジャンルでは一部そぐわない面も出てきたからだ。日本でCCライセンスの考え方を普及、促進させるためには、「ある程度のローカライズが必要」(ニワンゴの親会社のドワンゴ・伊織巧人執行役員)と判断した。

 8月15日にスタートしたニコニ・コモンズでは、選択したライセンス条件を後から変更できるようにしたり、作品を公開する場所をニコニコ動画や他の提携サイトなどに限定する選択肢も用意した。クリエーターやコンテンツホルダーがビジネスとして利用できる道も確保している。

 CCライセンスがインターネットや出版物などサイバー、リアルを問わず適用することを前提としているのに対して、ニコニ・コモンズは適用範囲を特定のエリアに絞る選択肢も用意している。ピアプロではCCライセンスでは必須条件となっている氏名表示を選択式にもしている。

 CCでは、「類似したライセンスの乱立につながる」(CC関係者)と渋い顔を見せる。だが、ニコニコ動画、ピアプロともに、基本的にはCCの考え方に賛同していることから、日本での使い勝手の改善をCCに要望していくなどして連携強化に努める。ニコニコ動画では、例えば、ニコニコ動画や提携サイト以外のインターネット全体に対してニコニ・コモンズの作品を公開する場合は、「CCライセンスに準拠した形でルールを決める」(伊織執行役員)などの対応も検討している。
  • 1