3次元仮想空間(メタバース)「Second Life」を運営しているリンデンラボのマーケティング・広報マネージャー、ジェイソン・リンク氏に、Second Lifeの企業内利用の動向、活用事例を聞いた。

 Second Lifeは2003年に一般公開され、07年には1000万ユーザーを超えるなど、急成長を遂げている。日本でも07年にオープンし、登録数は現在4万5000ユーザーに達している。リンク氏は「いずれネット上のコミュニケーションにおいて、メタバースは基幹技術になる」と力強く語る。

 Second Lifeは、リンデンラボが自社にサーバーを置いて管理している。アクセスするユーザーを制限したい場合、SIM(区画)を購入し、管理者権限で設定することが可能だった。だが「Second Life Grid」という仮想空間構築プラットフォームをIBMとの共同研究したことにより、サーバーを企業内に設置し、アプリケーション構築や管理ができるようになったという。「日本でもSIerのビジネスでメリットを享受できる」(リンク氏)と説明する。

 事例としては、IBMで「Second Life Grid」を使ってワールドワイドのカンファレンスを開催したケースがある。これまで開催地までの渡航費用など多額のコストがかかっていたが、メタバースでの開催によりコストを5分の1に削減できたという。「世界中どこにいても関係なくなった。自分の分身に面白い格好をさせ、場を和ませる効果もある。他のコミュニケーションツールでは出せない親近感を与えることができる」(同氏)。

 Second Lifeの最近の活用事例としては、呉服店の撫松庵がある。Second Life内で着物などを中心に販売する「ノンコ浪漫館」のオーナーでデザイナーの櫻井美月祈氏と、百貨店・伊勢丹新宿店と3者のコラボレーション企画だ。主に浴衣の帯、小物などを櫻井氏がデザインし、撫松庵が実際の着物として形にし、伊勢丹新宿店で販売した。撫松庵を展開する新装大橋営業統括部販売推進課の田中千絵氏は「これまでになかった形の帯を具現化するに際して、職人さんに細かいニュアンスを伝えるのが非常に難しかった」と振り返る。

 08年1月には、内閣府の主催で、Second Lifeを使って実際に東京丸の内に設置された会場と連動した防災イベントが開催された。一般企業においても、就職活動のコンテンツに利用するなど、多様な取り組みがなされている。(鍋島蓉子)