企業が自社の情報システムを外部のデータセンター(DC)に集約する機運がより一段と高まっている。不況でコスト削減を迫られる企業は、維持費がかさむ社内DCをITベンダーへ移管する動きをみせている。一方、ITベンダー側はここ数年DCを積極的に増設してきたことから「設備の過剰感が強い」(大手SIer幹部)との見方もある。DCの稼働率を高める狙いからも、ユーザー企業からのアウトソーシング受注の獲得に力を入れている。

 新規のシステム構築(SI)案件が伸び悩むなか、アウトソーシングは比較的好調に推移する傾向が見られる。世界大手アクセンチュアのアウトソーシング事業の第2四半期(2008年9月~09年2月)連結売上高は、グローバルで前年同期比約3%増えた。一方、コンサルティングとSIは同約2%ダウンしている。他の大手SIerをみても、SIよりもアウトソーシングのほうが底堅いケースが多い。

 シマンテックが08年9月のリーマン・ショック以降、日本を含む世界の有力企業約1600社を対象に調査したところ、DCのコスト増が大きな課題として浮き彫りになった。過去2年間にDC予算が増えた企業はグローバル、日本単独ともに約7割を占める。この先12か月を見渡しても半数が“増加する”と回答。DCのコスト増に悩む企業が多い。逆の見方をすれば、「DCコスト増を解決するビジネスは大きく伸びる可能性がある」(シマンテックの朝倉英夫・データセンターマネージメントグループマネージャ)ということだ。

 ITベンダーのDC設備はここ数年増加傾向にあり、国内でも大規模なDCが相次いで建設された。今年2月にはDC事業者のビットアイルが東京都内に最新鋭の「第4データセンター」を開設。ユーザー企業内での運用に比べてコストとCO2をそれぞれおよそ3割削減できるメリットを打ち出し、売り込みに力を入れる。3月にはNECグループと販売面での協業を発表。ほかにも伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)やシーイーシーなど大手SIerが相次いでDCを新設している。日本ユニシスは、GoogleやAmazonに対抗し得る低価格のクラウド型サービスへの参入を検討する。DCは稼働率が高いほど収益性がよくなるため、SIerはここぞとばかりにアウトソーシングの受注獲得に励む。

 ユーザーの要求に応えるため、ハイエンドからローエンドに至る幅広いDCサービスのメニュー拡充に向けた投資の増加が見込まれる。ストレージの重複データを排除するソフトなどを持つシマンテックでは、「DC向けのビジネスは継続して拡大する」(朝倉マネージャ)と、期待を寄せている。(安藤章司)