富士ソフト(白石晴久社長)のアウトソーシングビジネスが好調だ。IT投資の抑制圧力が強まるなか、アウトソーシングに関しては今期(2010年3月期)、前年度と同様の10%程度の売り上げ伸長に手応えを感じている。ソフト開発や新規SI案件では、商談期間が長引くなどのマイナス影響がみられるものの、中長期的見てトータルなITコストの削減が可能なアウトソーシングの「顧客の反応は上々」(栁英雄・執行役員アウトソーシング事業本部長)と、自信を示す。

 同社では、SI・ソフト開発やオリジナル商材の販売部門など、社内の他の部門とアウトソーシング事業の連携を強化。受注前の段階からアウトソーシングを前提としたシステム設計をユーザー企業に提案するなど、各部門との“クロスセル”をここ1年余りにわたって強化。こうした営業手法の見直しもアウトソーシングビジネスの拡大に貢献している。同社の直近の単体ベースのアウトソーシングの年商は60~70億円規模だが、向こう3年で100億円規模に拡大させる計画だ。

 ただ、ユーザーの基幹系業務システムの受け入れが可能な独自のクラウドシステムの構築には慎重な姿勢を示す。目下の主力は、顧客所有のサーバーなどを預かる従来型のアウトソーシングが中心。顧客がIT資産を所有しない「クラウド型のシステム投資の計画は今のところない」と否定的だ。情報系に関しては今年10月をめどにGoogleのサービスと連携するグループウェアなどを本格的に始める予定。その一方で、基幹系は先行投資が大きいこともあり、「顧客の需要動向の見極め」の段階だという。単体ベースの主要5か所のDCは、すでに8割弱が埋まっており、今の状態から大規模な基幹業務用のクラウドを構築するのは物理的に厳しい事情もある。

 同社では将来のDC需要の増加を見越して数年前に仙台のDC設備を大手金融保険会社から購入。延べ面積2万1000m2の大規模なもので、今はまだ本稼働していない。クラウドはDCの設置場所が重要ではなくなるため、仮に基幹業務向けのクラウドの需要の高まりがより明確になれば、仙台の大規模DCの活用も視野に入れるものと思われる。(安藤章司)