オープンな基盤を活用

 ERP(統合基幹業務システム)ベンダーのワークスアプリケーションズ(ワークス、牧野正幸CEO)は、オープンなクラウドコンピューティングプラットフォームへの対応準備を進める。“所有から利用へ”の流れはERP業界でも強まっており、ワークスは自社で開発するERPソフトのクラウド対応の準備を積極的に推進。そこで導き出した方針の一つが、独自でクラウド関連設備をもつのではなく、すでにある「オープンなクラウドプラットフォームの活用」(牧野CEO)だ。Amazon EC2などグローバルスタンダードになりつつあるプラットフォームを見極めたうえで、どのプラットフオームに対応するか選別する考えだ。

 ワークスは年商200億円を超えるERPベンダーであり、自前でクラウドプラットフォームを開発することも資金的に十分可能である。だが、牧野CEOは、「すべての有力なクラウドプラットフォームで稼働するERPをつくるほうが得策」と判断する。GoogleやAmazonなどは規模の経済を生かしたクラウドビジネスを推し進める。こうした大規模クラウドに比べれば、国内のクラウドは小規模と言わざる得ない。これを単独ベンダーで運営するとなれば、規模はさらに小さくなり、コスト削減効果は薄れる。

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 もともとワークスは、ITの運用コストを大幅に引き下げる効果がある製品づくりをしてきたことで急成長してきたERPベンダーだ。運用コストを現行システムの5分の1に下げることをモットーとし、地道に導入事例を積み重ねてきた。それだけに、運用コストの塊ともいえるクラウド設備、プラットフォームの選定には敏感に反応する。GoogleやAmazon系のクラウドは、現段階では基幹業務の維持に耐えうる可用性はないといわれる。だが、もし仮にERPが運用可能になるほど可用性が高まれば、その規模の大きさから考えてコストパフォーマンスは非常に高い。

 すでに、Amazon EC2上でクラウド対応製品の一部開発を行っているといい、他のクラウドプラットフォームへの対応も検討している。「自社のデータセンターを所有し、クラウドを動かすだけだったら、今すぐできる」(同)というが、これでは規模が限られ、ライバル他社に対するITの運用コスト削減の絶対的な優位性は保てない。同社は大企業向けの人事給与、財務会計で頭角を現し、今はCRM(顧客管理)やSCM(サプライチェーン管理)システム領域へ進出。今後はクラウドの“勝ち馬に乗る”ことで、自らの製品により高い競争優位性をつける戦略に打って出る。(安藤章司)