TKC(本社宇都宮市、田順三社長)の自治体向けSaaS/ASPサービスが伸びている。地方税の電子申告支援サービスをSaaS/ASP方式で提供するもので、2008年2月に本格的にスタート。今年末までに利用団台数が累計670を超える勢いだ。同サービスの年商規模は10億円超に成長し、今後はストックビジネスとして収益の安定化に貢献する見込み。販売面ではライバル他社の協力を得るなど、シェア重視でSaaS/ASPサービスを推進する。

 国や都道府県における税申告の電子化はほぼ終わっているが、1700余りある地方自治体の電子化は遅れ気味。そこでTKCが打ち出したのが、SaaS/ASP方式による地方税の電子申告支援サービスである。地方税電子化協議会が運営する地方税ポータル(玄関)サイト「eLTAX(エルタックス)」と自治体とをつなぐもので、個別に開発するよりも格段に安く利用できることが評価された。

 2008年初め、業界に先駆けて同支援サービスを投入。さらに、個人住民税における公的年金からの特別徴収制度では、電子化がほぼ必須の条件とされており、「電子化は待ったなしの状態」(角一幸副社長)だった。個別のシステム開発では時間がかかることから、SaaS/ASP方式の優位性を発揮しやすい。そこで、TKCでは、インテックや両毛システムズなど自治体ビジネスに強いSIerに販売提携を要望。普段はライバル関係にあるものの、導入期間が短いことなどからTKCのサービスを採用するSIerが相次いだ。直近では同サービスの販売パートナーが43社に増え、利用自治体数は年内で累計670団体を超える見通しだ。

 TKCの昨年度(09年9月期)は、後期高齢者医療制度の特需が収束。この分の減収を見込んでいた。だが、同時期に地方税電子申告のSaaS/ASPサービスによる増収効果が10億円余りに到達。「特需後の減収分を補う役割を担った」(同)と胸をなで下ろす。特需対応型ではなく、平常時のサービス型ビジネスであるため、中長期的な収益の安定化にも貢献する。地方税申告の電子化は向こう1年でほぼ成し遂げられるため、今後は申告内容の記入漏れや矛盾点を自動でチェックするといった有償オプションサービスを拡充。付加価値を高めて収益拡大を目指す。(安藤章司)