【上海発】ヒューレット・パッカード(HP)中国は、中国内陸部での法人・個人向けPC事業の拡大に向け、本格的に動き始めている。2010年1月に稼動を開始した重慶工場を中心として、急拡大している地方市場で同社の存在感を示す狙いだ。法人向け事業では、役所や学校/大学など、公共施設での需要が高いとにらみ、地方政府と連携を強めていく。競争が激しい地方市場だが、同社は政府と綿密な関係をもっている強みを武器に、公共案件の受注を獲得していく。

デニス・マーク
ヒューレット・パッカード
アジアパシフィック&ジャパン
バイスプレジデント
 ヒューレット・パッカード アジアパシフィック&ジャパンのデニス・マーク・バイスプレジデントは、「中国内陸部の地方市場は、当社が今最も投資を拡大している事業だ」と、重視度の高さを明らかにした。今年1月に、四川省の東部に位置する重慶に新工場を開設。重慶工場は、約2万m2と規模が大きい。内陸部では同社初の工場で、中国では上海に次いで2番目に設立したものだ。中国西部にもアクセスしやすい重慶を拠点に、内陸部への納期を大幅に短縮し、沿岸部から遠く離れた地方市場でも、HPブランドを浸透させていく。

 地方市場で、同社が大きなポテンシャルを見込んでいるのは、公共案件の受注だ。具体的には役所や学校/大学用PCの展開に期待を寄せ、地方政府を相手にしたビジネスに目を向けている。公共案件の受注は、政府が積極的に支援している国内メーカーとの競争が激しく、外資系企業にとってはハードルが高い。だが、「当社は25年間にわたって中国政府と非常に良好な関係を築いてきたので、外資系であっても有利なポジションにいる」(マーク・バイスプレジデント)と自信をみせる。例えば地場の大学でIT関連の講座を開くなど、多様な施策を打ち出して、公共案件の受注につなげることを追求している。

 同時に、コンシューマ向けPC事業の拡大にも注力。インターネット利用の頻度が高い若年層を重要なターゲットに据え、デザインコンテストなどを通じてアプローチをかけている。若者に自社製品を積極的にアピールする戦略は、販売拡大を目的とするにとどまらない。「地場の大学生と深い関係を築くことで、将来HPで働きたいという人を増やしていく」(マーク・バイスプレジデント)としており、優秀な人材の獲得も狙っている。

 HPは、中国を「アジアで最も重要な市場」(マーク・バイスプレジデント)としている。しかし、中国市場は競争が激しいだけでなく、ここへきて、ユーザー意識にも変化の逃しがみえてきた。「法人・個人向けともに、品質に関しての目が厳しくなっている」(同)と、ユーザーへの新たな対応を余儀なくされるとともに、今後の競争が一層激しさを増すとの見通しを立てている。(ゼンフ ミシャ)