【無錫発】NTTデータは、中国でのアウトソーシング能力を拡充する。上海近郊で長江デルタ工業地帯の中心部に位置する無錫をアウトソーシング拠点と位置づけて、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)やデータセンター(DC)を用いたサービスの本格的な立ち上げを急ぐ。地場でのSI案件も増えており、従来の日本向けオフショアソフト開発に加えて、アウトソーシングや地場SIを拡大させることでビジネスを伸ばす。

地場の公共SI案件にも参加

高永東総経理
 BPOやDCサービスを重点的に担うのは、NTTデータグループの無錫華夏計算機技術(無錫華夏、高永東総経理)である。人員規模は無錫華夏グループ全体で約630人と、中国の事業会社のなかでは北京NTTデータシステムズインテグレーションに次ぐ規模を誇る。中国でのITビジネスを拡大するに当たり、無錫華夏をアウトソーシング系サービスの拠点とする方向で、「BPOや運用系のノウハウ習得やエンジニアのスキル転換を進める」(無錫華夏の高総経理)方針を示す。

 具体的には今年6月、中国のNTTデータグループ事業会社で初めてDCの運用をスタート。さかのぼる1月には、総務や財務、購買などのNTTデータグループ向けのシェアードサービスを軸としたBPOセンターを開設している。今のところはNTTデータグループが主なユーザーであるものの、将来的にはグループ外に向けたBPO・シェアードサービスの提供も視野に入れている。

 もう一つ、重視するのが中国地場のビジネスだ。直近の例として、NTTデータグループが長江デルタ地域で急成長している江陰地区(無錫市)の公共案件を獲得したケースが挙げられる。江陰地区の橋梁にセンサーを設置し、自動車の衝突事故や橋の振動幅を監視。橋桁の間隔の変化といった構造的安定性などの情報を自動的に収集し、橋梁の安全確保に役立つモニタリングシステムの実証実験を10月から始める。営業はNTTデータグループで行い、開発や運用は地元無錫に本社を置く無錫華夏が加わっている。

 地場ビジネスは、これまで日系企業からの受注が多かった。だが、中国の著しい経済発展を踏まえ、「中国企業や公共案件向けの営業人員を重点的に拡充する」(高総経理)と、アウトソーシング拠点の強みを伸ばすとともに、グループの総合力を生かした地場系SIビジネス拡大を急ぐ。

 無錫華夏の昨年度(2009年12月期)の売上高は、日本向けオフショアの減少もあって、ほぼ横ばいだった。今期は、09年7月にNTTデータグループに加わったことによるグループ相乗効果が追い風となり、前年度比で4割ほど増える見込みだ。(安藤章司)

無錫華夏計算機技術のオフィスビル