日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が、データベース(DB)の新戦略を発表した。同社では、他のDBへの移行を支援するサービスを展開することで「ロックリリース(ベンダーロックインからの解放)」を実現する。

 日本HPは、「ロックリリース」を推進するため、「HP データベースライセンスダイエットアセスメントサービス」「HP SQL標準化アセスメントサービス」「HPデータベース ポートフォリオアセスメント」「HPデータマイグレーションサービス」の4サービスを展開。「HP データベースライセンスダイエットアセスメントサービス」「HP SQL標準化アセスメントサービス」は、HPのサーバーを購入した場合、無償提供する(一部サービスを除く)。

 「HP データベースライセンスダイエットアセスメントサービス」は、既存DBの継続利用顧客向けのサービス。現行エディションのダウングレード、仮想化の利用などによって、ライセンスの削減を提案する。

 「HP SQL標準化アセスメントサービス」は、各種DBの独自言語部分を業界標準の「ANSI SQL」に書き直すことで、徐々に他のDBへの移行性を高めるサービス。独自言語部分の割合算定や「ANSI SQL」への書換え時の問題点の洗い出し、書換え予想工数の検討などを行う。

 「HPデータベース ポートフォリオアセスメント」では、移行の際に最適なDBを提案。「HPデータマイグレーションサービス」では、日本HPでメインフレームの置換えを担っている部隊がDB移行を手がける。

 新戦略の実施に伴い、日本HPはデータベースソフトウェアベンダーとともに、ロックリリースを強力に推進する「データベース改革推進アライアンス」を発足させた。企業の効率的、生産的なデータ活用を目指して、データベース改革を推進するのが目的。賛同企業はエンタープライズDB、日立製作所、マイクロソフト、SAP、SAP傘下のサイベースの5社。さらに賛同企業を募っていく。

左からエンタープライズDB日本/韓国/中国総代表の藤田祐治General Manager、日立製作所情報・通信システム社ソフトウエア事業部IT基盤ソフトウェア本部の大田原実DB設計部長、日本HPの杉原博茂執行役員、日本マイクロソフトの梅田成二業務執行役員、SAPジャパンの小関高行バイスプレジデント、サイベースの早川典之社長

 多元的なデータ活用や内部統制の厳格化、迅速な経営が求められるなかで、大型データベースシステムであるデータウェアハウス(DWH)の導入検討が進んでいる。データベースのライセンス費用はほとんど下がっておらず、システムでのライセンス費用比率は増加している傾向にある。コスト見直しで他のDBに移行するにも、DBを利用する業務アプリケーションの改修が発生。多くの顧客が頭を悩ませていたという。

 日本HPの杉原博茂執行役員は、「今ある資産を保護しながらDBのロックリリースを進めることで、3年~5年後の投資として、顧客は最新テクノロジーを取り入れることができる」と話す。

 新データベース戦略の背景には、昨年12月に米オラクルがユーザー企業に対する十分な予告もなく、Itaniumプロセッサ9300番台搭載サーバー上で稼働する「Oracle Database Enterprise Edition」のプロセッサライセンス係数を2倍に引き上げたことがある。今年3月には、インテルItaniumプロセッサ向けソフトの新規開発中止を発表した。

 日本HPの山中伸吾エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部製品戦略室長は「オラクルとはケンカはしない」としながらも、「(SPARCプロセッサを搭載した)Sunのサーバーに乗り換えさせるためにやったこと。値上げによって顧客は予算増額を強いられることになり、許せない」と憤った。

IDCによるプロセッサシェア

 選択肢の少ないDBのロックリリースを進めることで、ユーザー企業はベンダーに対して価格交渉力を強めることができる。また、標準化を実現すれば、「特定の人にしか分からないシステム」から脱却することができる。(鍋島蓉子)