SIerのウイング(樋山証一社長)は、ソフトウェア開発の自動化ツール「GeneXus(ジェネクサス)」に対応した業種向けテンプレートの拡充を図っている。2013年末までに組み立て製造業向けテンプレートを商用化したのに続いて、今年1月には独自に開発してきたGeneXusスターターキットの機能を拡充。さらに2014年内をめどにプロセス製造業向けのテンプレート商用化に意欲を示す。ウイングはGeneXus活用SIerの老舗で、これまで培ってきたノウハウをテンプレートというかたちで販売することで、GeneXusの普及促進とテンプレート販売に伴うライセンス収入の拡大を狙う。

樋山証一
社長
 GeneXusをはじめとするソフト開発自動化ツールの多くは、ユーザー企業の情報システム部門が自らの手で情報システムを構築したり、手直ししやすくすることに主眼を置いている。プログラミングをなくすことで実現するものだが、だからといって情報システムの構築に必要な「要件定義」や「設計」がなくなるわけではなく、「漠然とした課題感から要件を定義し、設計書に落とし込めるかどうかが最大のハードル」(樋山社長)だと指摘する。

 ウイングは、ユーザーによる要件定義から設計に至るまでを支援する目的で、業界に先駆けてGeneXus対応のテンプレートを商用化した。昨年末に発売した組み立て製造業向けのテンプレートは、実際にGeneXusを活用しているユーザーの協力を得て、「注文管理」や「生産計画」「工程管理」「在庫管理」「出荷管理」などひと通りをテンプレート化した。これにより、同業種のユーザーは、ゼロから設計しなくて済む。年内をめどに、同様の手法で加工食品や製薬などプロセス型の製造業向けのテンプレートの商用化も視野に入れる。

 テンプレートの品揃えを増やすことで、ソフト開発の自動化に踏み切れていないユーザーの背中を押すとともに、「要望があれば同業のSIerやソフト開発企業への販売の相談にも応じる」(樋山社長)と、GeneXusを普及させることを目的に販売先も柔軟性をもたせる。テンプレートを活用することでユーザーは自らの手で情報システムを構築しやすくなり、いわゆる「業務特化型言語」といわれる簡易言語をベースに設計書を仕上げれば、あとは自動化ツールがプログラムソースコードを自動生成してくれる。ベンダーは「GeneXusに関する技術的な支援や、どうしても人手が足らない部分を手伝う」(樋山社長)範囲にとどまる。

 ビジネスの変化に適応する際の情報システムの手直しも、ユーザーの情報システム部門が行うことでスピード化とコスト削減効果が期待できる。こうしたことがユーザーから支持を得て、ウイングの今年度(2014年7月期)GeneXus関連事業の売り上げは前年度比約5割増になる見通しだ。(安藤章司)