セキュリティ事業を手がけるトレンドマイクロ(エバ・チェン社長)は、地方のシステムインテグレータ(SIer)に向けた事業展開に力を入れている。この10月、福岡県福岡市に本社を置く老舗SIerのBCC(幸田好和社長)と手を組んで、BCCが運営しているデータセンター(DC)のユーザー企業に対し、情報をサイバー攻撃から守るセキュリティサービスを発売した。BCCが販売を行い、セキュリティ関連で、今後1年間で1億円の売り上げを目指す。

大田原忠雄
部長
 福岡地区は、九州新幹線の開通などによって景気が刺激を受け、地場企業でシステムをDCに移行する動きが活発になっている。もともとシステム構築(SI)に強いBCCは、事業の新たな柱をつくる狙いでDC運営に注力し、その一環として、今回、トレンドマイクロとの共同ビジネスに踏み切ったという経緯がある。サーバールームへの入室・退室を管理する物理セキュリティの対策を講じるほか、トレンドマイクロの技術を活用して、ネットワーク制御や不正アクセス検知、ウイルス侵入監視などができる仕組みを実現し、ユーザー企業に提案。月額課金のプランも用意して、クラウド型利用のニーズに対応する。

 地方のSIerは、新規ビジネスの切り口を探り、DC運営に参入したり、独自サービスによって他社との差異を明確にする動きを加速している。そこで、トレンドマイクロは、地方SIerにとって「セキュリティ」が有望な商材になると捉え、共同ビジネスの拡大に取り組んでいる。大田原忠雄・ビジネスマーケティング本部ソリューションマーケティング部部長は、「地方SIerは、『うちのサーバーは安全』ということをお客様に訴求することができれば、受注しやすくなる」とみて、SIerに対してセキュリティを提案する活動を強化するという。

 国内のDC市場は、外資勢をはじめとする大手プレーヤーが強みを発揮しているが、それらのDCは首都圏に集中していることから、「自社の近隣にあるセンターを利用したい」という地場企業のニーズに応えることができない。だからこそ地場でDCを運営するローカルSIerにとっては商機が生まれるし、強固なセキュリティ対策を打ち出してユーザー企業に「安心」を提供すれば、案件を獲得できる可能性が高まるといえそうだ。(ゼンフ ミシャ)