ASEANは「日本国内」でも商機あり

 この12月末、「森」をイメージしたスペースを取り入れた東京・大手町の商業施設「OOTEMORI」の33~38階に開業するのは「アマン東京」。シンガポールに本社を置くアマンリゾーツが展開する超高級ホテルだ。再開発に沸く大手町で、ASEAN企業が存在感を示している。アマンリゾーツはこれまでタイなどのリゾート地を中心にホテル事業を手がけてきたが、「アマン東京」を皮切りに、都市型ホテルの展開に乗り出した。先進国である日本ならではの「ハイエンド」力を評価し、第一弾の開業地をTOKYOに決めたのだ。少しずつだが、日本進出に取り組み始めたASEAN企業は、日本のITベンダーの新たな提案先になる。

 「日本に来る企業にITを提供すれば、そのまま当社の売り上げになる。合弁会社をつくって現地で案件を獲得するよりは、ビジネスとしてうまみがある」。ユニアデックスの入部泰社長は、こう断言する。同社は2014年、ASEANでの事業展開に強いネットマークスを統合して、現在、旧ネットマークスの現地での合弁会社を通じて日系企業にサポートを提供している。しかし、時間をかけて案件を獲得しても、その売り上げは一緒に合弁会社をつくった現地の企業とシェアしなければならない。そのため、ユニアデックスに入る収入は、それほど大きくないのが実際のところだ。

 そんな情勢下にあって、入部社長が進めようとしているのは、ASEANをはじめ、日本に進出する海外企業に国内でICT(情報通信技術)インフラを提供するという「インバウンド」の事業展開だ。15年、親会社の日本ユニシスとパイプをもつ米ユニシスから案件を紹介してもらうなど人脈網を生かし、インバウンド案件の獲得につなげる構想だ。

 ASEAN企業の日本進出はまだ始まったばかり。しかし、インドネシアやマレーシアなどの経済成長とともに、ASEAN企業が「グローバル展開」に踏み切るのは、時間の問題だろう。日本のITベンダーは、自社の技術力を認めてもらい、ASEAN企業が日本に進出した際、オフィスのICTインフラを発注してもらうための基盤づくりという意味からも、ASEANの地場企業への積極的な接近は戦略として欠かせない。(ゼンフ ミシャ)