ASEANでの事業展開に取り組んでいる日本の主要ITベンダーは、2015年末の発足を予定する「ASEAN経済共同体(AEC)」(概要や進捗具合については「図1」を参照)によって、ASEANビジネスの幅が広がることに期待を寄せている。ベンダー各社にAEC発足の「インパクト」についてたずねた。(ゼンフ ミシャ)

ITビジネスへの影響は

 「ASEANにおける事業を伸ばすうえでは、(AEC発足による)メリットが大きい」。インフラ構築に強い日立システムズでグローバル事業開発本部長を務める齋藤眞人執行役員は、これまでバラバラだったASEANが「一つの市場」になることが、ビジネス拡大に追い風になると捉えている。

 具体的には、モノやサービスの貿易の自由化によって「域内で一定品質のサービスを提供できるようになる。さらに、国ごとに(開発や営業の)リソースを確保する必要がなくなる」とみて、ASEANでのビジネス展開の効率化や利益率の向上に関して、AEC発足がプラスに働くという見解を示している。

 データ活用サービスに注力している三井情報は、「(金融といった分野での)規制緩和によって、今後、消費者向けサービスを手がける企業の進出が盛んになる」ことを予測。そのため、消費者のニーズや行動などについての情報を解析して、サービス開発に反映する動きが活発になり、「ビッグデータ市場が加速度的に成長する」と見込んでいる。クラウドサービスを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)は、「EU(欧州連合)の例をみていても、国を越えた拠点の統合が加速する」とにらみ、「その影響でインフラや業務アプリケーションの統合が活発化してくる」という見通しを表している。
 


 ITベンダー各社は、AECの発足によってメリットを享受する一方で、文化や言語の違いなどによる課題も存在することを認識している。日立システムズの齋藤執行役員が「一朝一夕には、真の共同体の実現は難しい」と語るように、長期にわたって各国の動きをみながらビジネス対応に取り組む必要がありそうだ。

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