日立製作所(日立、東原敏昭社長兼COO)は、3月9日、多拠点に分散したデータセンター間の通信や大規模データセンター内のネットワークを対象とした、大容量・高信頼ネットワーク技術を開発したと発表した。

 今回、日立ではデータセンター内の各サーバーやストレージなどから出力されるデータ回線を、ビットごとに順番に1本の回線に集約し、各送信先に自動的に振り分ける技術を開発した。データを集約する際に、あらかじめビットごとに送信する順番と送信先をひもづけし、転送後に自動的にデータを各送信先に振り分けることで、パケット通信で行っていた複雑な処理が不要になる。集約化技術については、パケットよりもさらに細かいビット単位で、1本の回線に集約するため、各種プロトコルの影響を受けず、サーバー向けLANやストレージ向けネットワークをまとめて集約できるようになる。

開発技術を適用したデータセンター

 また、400ギガビット/秒級でデータセンター間の通信を実現する光多値伝送向け送受信技術を開発した。光の波の振幅(強さ)と位相(タイミング)を少しずつ変えた16個の状態で、情報を表現する多値変調を行うことで、1度に4ビットのデジタル情報を送信することが可能な、16値多値光通信方式に対応した10-40kmの中距離通信用の光送受信器を試作した。試作した光送受信器では、構造が簡素な光検出器を用いて多値信号を受信する遅延検波方式を採用し、リアルタイムでの動作を確認している。

 さらに、マルチコアファイバー内の伝達路の一部を予備経路として残しておき、災害時の通信断絶を瞬時に検出し、データを予備伝達路へ高速に切り替える技術を開発した。7本のコアを内包するマルチコアファイバーを用い、一部のコアを平常時には予備のコアとするとともに、1本のコアを通信断絶の検出、また、通信装置間での通信経路切替え制御信号の交換に、常時使用する冗長化技術を開発した。これにより、あるファイバーで通信遮断が生じた際には、使用中だったコアの通信を他のファイバーの予備のコアに迅速・確実に振り分け、災害時での通信路の遮断を回避する。

 なお、開発技術の実用性を検証するために、北海道札幌市に敷設された20kmの光ファイバーを用いて、データセンター内外のネットワークを模擬した試験用プラットフォームを構築し、今回開発した3つの技術を連携させた実証実験を行った。その結果、回線を集約する際のデータ転送遅延を1マイクロ秒以下に低減、20kmの通信距離で従来比4倍となる400ギガビット/秒級光通信、マルチコアファイバーによる経路の高速切替え動作などを確認し、開発技術の実用性を確認した。