2013年、ストレージメーカー各社は、前年から20%近い成長を果たした。前年に引き続いて、ストレージ市場が好調に推移した証だ。製品では、オールフラッシュストレージが登場し、ユーザーから高い支持を受けた。一方、新たな市場の開拓に向けて、パートナーとともにどのような提案を行っていくのかが、各社に共通する課題となっている。2014年下半期に向けて、どのような戦略を描いているのか、主要メーカー6社のキーパーソンにお集まりいただき、座談会形式でうかがった。



出席者(写真左上から)

NEC  藤原一之氏
デル  小島由理夫氏
日本IBM  波多野敦氏
日本オラクル  宮坂美樹氏
日立製作所  高群史郎氏
富士通  太郎田裕一氏


司会/『週刊BCN』編集長 木村剛士
写真/清水タケシ

●市場は引き続き活況 予想以上の成長を達成

──まずは、2013年を振り返っていただきたいと思います。各社の決算の年度末は違いますので、過去1年の市況感と実績、その要因などを聞かせてください。

藤原(NEC) 販売はかなり好調でした。直販だけでなく、パートナー様の販売も同様です。とくに、内蔵ストレージではなく外付けストレージの必要性をお客様に働きかけてきましたが、その効果が出てきたと考えています。

 製品別では、ユニファイドストレージ「Mシリーズ」、重複排除に強いバックアップ製品の「HSシリーズ」、Windows Storage Serverを搭載するNASの「NSシリーズ」がどれも台数ベースで前年比20%増と大きく伸ばしました。また、「Mシリーズ」をSANとNASの両方で使えるようにするNASオプションも、官公庁や民需商談での売り上げ伸長に貢献しました。

 ある程度の好調は予想していましたが、実績はそれを上回る伸びになりました。今年も、この好調を維持したいと考えています。

小島(デル) われわれも販売は堅調でした。台数は全体で5000台の販売を、売り上げは前年比18%増を達成しています。製品では、これまであまり販売がかんばしくなかったファイバーチャネルストレージの製品が、前年比90%増という大幅な伸びを示したことが一番のトピックでした。

 当社の主なターゲットは、中規模企業です。その層に向けて、こぢんまりとしたニーズを数多く拾い上げるかたちでビジネスを展開しながら、金額ベースで20%近い成長を達成できたことは、中規模層でストレージの需要が確実にあるということだと捉えています。

波多野(日本IBM) 昨年は、新たなストレージテクノロジーの採用拡大を感じられる1年でした。顕著なのが、昨年4月に発売した「IBM FlashSystem」というIBM独自設計で信頼性を高めたオールフラッシュストレージです。発売直後、すぐに引き合いをいただき、発表した四半期(2013年4~6月)で2ケタの販売台数を記録。以降、四半期ごとに倍々のペースで販売が続きました。現時点で、3ケタの販売を達成しています。しかも、お客様の多くが全社規模の重要な本番システム向けということで、高信頼なストレージ基盤としての本格採用が加速していると実感しています。

 当初は直販で始めましたが、パートナー様から「扱いたい」という要望が相次ぎ、間接販売中心へと変更しました。これまで当社のストレージを扱っていなかった方々にも受け入れられ、各社の品揃えに加えていただいています。われわれの予想をはるかに超えた、うれしい反響をいただいています。

宮坂(日本オラクル) われわれはフラッシュ、ディスク、テープの3本柱で、これから本格的にみなさんを追いかけていく立場です。

 当社の強みの一つであるNASストレージ「Oracle ZFS Storage ZS3」は、売り上げで前年比ほぼ倍増を記録しました。とくに好調だったのがデータベース(DB)マシン「Exadata」のバックアップ用途として、オラクルのストレージならではの「Oracle DB」の圧縮機能をもつことから、「Exadata」とセットで売れるケースが多くありました。オラクルのソフトウェアを最も効率よく、最も速く動かすのが、ストレージを含むオラクルのハードウェアです。当社はこの価値を提供する「Oracle On Oracle」という施策を推進し、その効果が確実に出ていると感じています。

 業種分野別では、以前から強みとしていた金融・通信業界に加え、製造業も復活しているという手応えがあります。私はパートナービジネスの推進を一部担当しているのですが、4年前のサン・マイクロシステムズの買収後からパートナー様の数も増えていますね。

高群(日立製作所) 当社もストレージビジネスが大変好調で、全体では金額ベースで昨年を上回りました。ストレージソリューション事業では前年比約16%増を達成しました。

 分野別では、公共分野の伸びが大きかった。これは、アベノミクスなどの政策効果も影響していると考えています。製品別では、ファイルストレージとフラッシュストレージがとくに好調でした。また、パートナー様に扱っていただいているファイルサーバーは、前年と比べて大幅に増えています。

太郎田(富士通) 市況感は、みなさんと同じです。とくにオープン系の製品が好調で、売上ベースでは前年比19%増を達成しました。市場別では、ミッドレンジが増加し、ローエンドが減少するなど、全体の台数ベースでは若干減っているものの、金額ベースではかなりいい結果を残すことができました。分野別では、官公庁・自治体が好調でした。

 製品別では、NASが前年比25%増とかなり好調でした。これは、ファイルサーバー用途だけでなく、仮想化によるストレージの統合という用途が需要につながったものと考えています。また、重複排除機能を備えたオールインワンタイプのバックアップ製品で、昨年ラインアップに加えた「FUJITSU Storage ETERNUS BE50」は、100万円台から導入できる低価格の設定で、パートナー様が販売しやすいソリューションとして、大きく伸びました。

●パートナー支援を充実 注目を集めるフラッシュ製品

──みなさんのお話から、昨年に引き続き市場は活況で、ストレージへのユーザーニーズは確実に高まっていることがわかりました。具体的に、どのような施策を打たれたのでしょうか。

太郎田(富士通) 当社はストレージベンダーというより、あくまでもシステムベンダーとしてストレージを販売しています。ですから、単体のストレージ製品で施策を考えるのではなく、まずは当社のストレージを導入しているお客様やマーケットを、リプレースのときにしっかり守る、ということを基本にしています。昨年も、それは達成することができました。

 課題は、IAサーバーの販売が好調でも、ストレージがそれに比例して増えているわけではないことです。その理由は、内蔵ディスクだけで十分と考えるお客様がいらっしゃることや、パートナー様が他社のストレージ製品をかつぐケースが少なくないこと。とくにSIer様の場合、各社の製品でベストの組み合わせをつくることにこそ、自分たちの価値があるわけですから、当社の製品だけでシステムを構築することは難しいと感じています。逆にいえば、そこを崩していく提案や戦略が問われているわけです。

高群(日立) 当社は、日経コンピュータが実施している「パートナー満足度調査」「顧客満足度調査」の両方で、ストレージ部門の総合満足度第1位に選ばれました。これは製品力だけでなく、人的な支援をご評価いただいたものと考えております。

 パートナー支援として行っている技術者の資格認定制度「Hitachi Storage Solutions技術者資格認定制度」は、すでに約8000人の認定者を出していて、そのうちパートナー様の認定者は約3000人に達しようとしています。認定者に向けた支援策として、特別講座による最新情報の提供、インターネット経由で使用できる体感ツールなど体験型ツールの拡充、CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)の拡充による試験、とくに地方受験の負担軽減や利便性の向上に取り組みました。また、小田原の事業所で、パートナー様のお客様に工場を見学いただくことで、当社のものづくりへのこだわりに触れていただき、安心感や信頼感の醸成に役立てています。

 販売では、パートナー様のソリューションとの組み合わせによって、多くの商材をつくり、それが販売増に貢献しています。例を挙げると、グループ会社の日立ソリューションズのコンテンツ運用支援「MEANS」と当社のファイルストレージ「Hitachi Virtual File Platform」を組み合わせた、ファイルサーバーの“見える化”ソリューションを提供しています。

 製品では、ストレージのオールフラッシュ製品(Hitachi Accelerated Flash)のほか、ファイル系で「Cloud on-Ramp」というクラウドストレージソリューションを提供し、ファイルストレージ分野の強化を図っています。

宮坂(日本オラクル) 直販とパートナー施策の二つがあります。パートナー施策では、サン・マイクロシステムズの買収時点よりも多くのパートナー様に当社のハードウェア製品を販売いただく取り組みを1年半かけて行いました。その成果は確実に出てきています。

 パートナー様には、ディストリビュータの方々と、ハイエンドのお客様をもつSIerの方々がおられます。ディストリビュータ向けには、当社の各種認定資格の取得をサポートする施策を徹底して進めました。「オラクル・システムズ・カレッジ」という教育の仕組みをつくり、人の育成をサポートしたことで、60社弱だった取得社数が250社へと大幅に増加しました。今後はさらに、これを倍にする計画です。

 SIer様向けの施策は、ソリューション開発に貢献する取り組みを進めています。例えば、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)様の総合検証センターが、アジア太平洋地域で初の「Oracle Authorized Solution Center(OASC)」に認定されました。OASCのもつグローバルネットワークを生かして、自社の商材とオラクル製品を活用した新しいソリューションの開発を進めていただくことができます。

 直販では、お客様を米サンタクララの開発拠点にお連れして、将来への安心感をもっていただけるよう、開発体制やロードマップなどを紹介する活動を実施しました。製品では、ディスク+テープによるバックアップの最適化ソリューションも進めています。

波多野(日本IBM) オールフラッシュ製品「IBM FlashSystem」の販売が好調に推移していることに合わせて、販売体制をシフトしています。まずは、「IBM FlashSystem」の専門部署を立ち上げて、業種・業態に合わせた提案方法を模索する取り組みを進めました。発売当初は高速化へのニーズがある金融業などのお客様が多かったのですが、そのニーズが一巡した後は、フラッシュのメリットがお客様に広く理解されるようになり、業種を問わず、さまざまな分野からの引き合いが続いています。

 さらに、フラッシュ製品を扱う販売パートナー様を募って、「IBM Flash パートナーズ」を設立しました。新たにパートナーに加わる方々も少なくなく、半数近くが新規のパートナー様です。こうした方々と、各社のソリューションに適した「IBM FlashSystem」の組み込みを行うための検証やノウハウの共有、共同マーケティング活動などを進めました。 販売では、パートナー様の強みが存分に発揮されて契約に導いた案件に対して、マージンなどを含むプレミアムを上乗せさせていただく優遇施策を行っています。

NEC
藤原一之
ITプラットフォーム事業部兼
プラットフォームビジネス本部
シニアマネージャ(ストレージ販売促進)

2012年10月からストレージの販売推進を担当。以前は「iStorage」の製品企画を担当していた

NEC iStorage M100

「iStorage M100」は、安価なモデルながら仮想化における構築やバックアップを簡単に行う機能が充実し、運用コストを削減できるSANストレージ。また、バックアップストレージ「HS3」と直結し、簡単にバックアップできる扱いやすさも魅力です。

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