キヤノンMJ ITグループのキヤノンITソリューションズ(浅田和則社長)は、2014年12月16日に仮想基盤上で動作可能なソフトウェアUTM(統合脅威管理)製品「SECUI MF2 Virtual Edition」を発売した。キヤノンITソリューションズは、2013年10月にトライポッドワークス(佐々木賢一社長)と協業し、14年1月から同製品を取り扱う予定だった。予定より約1年遅れたのは、キヤノンITソリューションズの要望を取り入れたためで、プラスに考えている。キヤノンITソリューションズの雪永健・プロダクトソリューション事業本部セキュリティソリューション事業部ネットワークセキュリティ営業部部長は、「海外の製品だと、日本のローカルな要望はなかなか聞き入れてもらえないが、トライポッドワークスとSECUI MF2 Virtual Editionの開発元である韓国SECUIは柔軟に対応してくれた」と満足している。

 同製品は、仮想基盤上で動作可能なソフトウェアUTM製品で、韓国サムスングループのSECUIが開発している。UTM製品については、国内でトップクラスの販売実績があると自負するキヤノンITソリューションズだが、ソフトウェアUTMを取り扱うのは初めて。

 SECUI MF2 Virtual Editionのポイントは、一般的なUTM製品がハードウェアと一緒に提供されるアプライアンス製品であることに対して、仮想基盤上で動作するということ。ハードウェアを仮想環境別に設置するのが難しい、クラウド上での利用が想定される。対応する仮想化基盤(ハイパーバイザー)は、「VMware ESXi 5.5」である。

 UTMにアプライアンス製品が多い理由について、キヤノンITソリューションズの雪永部長は「仮想環境で稼働するソフトウェアUTM製品は、SECUI MF2 Virtual Editionだけではない。他社も提供していて、米国ではある程度普及している。ただ、日本ではアプライアンス製品で市場が成立していることと、ハードウェアに載せて販売したほうが売り上げが大きくなるということから、ソフトウェアUTMに注力しているベンダーはほとんどない」とみている。そのため、大きなチャンスとなる。クラウドの普及とともに、ネットワークやストレージなどの分野においても、ハードウェアに依存しないソフトウェア製品が増えている。セキュリティ分野においても、この流れがくるというわけだ。

 キヤノンITソリューションズとトライポッドワークスは、フォーカスエリアが同じで、競合する製品を保有していて、競合企業ともいえるが、「トライポッドワークスからソフトウェアUTMの話を聞いて、即決した。仮想環境の市場を開拓していきたいと考えていたからだ。一緒に日本のUTM市場を変えていきたい。UTMはソフトウェアのほうがいい。引き合いも多い」と雪永部長は意気込んでいる。トライポッドワークスとしても「ソフトウェアUTMは、アプライアンス製品とは市場が変わる。データセンターなど、より大規模な環境がターゲットとなる。だから、新たなパートナーが必要だった」とトライポッドワークスの佐々木賢一社長は、相思相愛が生んだ協業だったことを強調する。SECUI MF2 Virtual Editionは両社の協業第一弾の製品となったが、「次の製品も準備している」(雪永部長)とのことだ。(畔上文昭)

キヤノンITソリューションズの雪永健部長(右)、トライポッドワークスの佐々木賢一社長