【東京・上海発】東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、大澤正典社長)は、インドネシアとシンガポールの現地法人の営業を開始した。先行して拠点を置く上海、タイに続き、アジアに四つの拠点を整備したことになる。海外市場では、製造業向けの生産管理システム「MCFrame」や、海外拠点向けグローバル会計システム「A.S.I.A.」など、自社ソフトウェアのライセンス販売を中心に成長を図る。喜多井健・執行役員グローバルビジネス推進本部本部長は、「A.S.I.A.はもともと海外向けの商材だし、MCFrameもすでに30~40%の案件が海外がらみになっている。新しい拠点をフル活用して、現地法人の売り上げを向こう3年間で2倍に増やす」と意気込む。(本多和幸/真鍋武)

新拠点はまずは日系から刈り取る

喜多井健
執行役員
 インドネシア法人は、4月から本格的に営業を開始するが、すでにMCFrame、A.S.I.A.の現地ユーザーは25社にのぼるという。「そうしたユーザーの支援体制を早急に整備する必要があり、1年以上前から現地法人設立の準備を進めてきた」(喜多井執行役員)という背景がある。まずは、既存顧客のサポートに加え、日系の自動車部品メーカーを主なターゲットとして新規顧客の獲得に挑む。インドネシアにこれから進出しようという日系メーカーも多いため、品質管理や経理のためのITシステムをまとめて整備したいというニーズは大きい。MCFrameとA.S.I.A.をセットで提案できるため、B-EN-Gにとっては成長の余地が大きい市場といえそうだ。

 一方、シンガポールにはもともと拠点を置いていたが、特定の顧客向けのプロジェクトだけを対応していた。しかし、シンガポール政府の税制優遇策などによって、日系企業のASEAN地域統括会社が置かれるケースが増えており、これに伴い日系企業のIT導入ニーズが高まっている。これに応えるために、一般的な現地法人としての機能をもたせ、実質的には今年1月から営業を開始している。こうした市場の特性を踏まえ、A.S.I.A.や、B-EN-Gがリセラーとして担ぐSAPのERP製品など、広域のビジネス基盤となり得る商材の販売に注力する方針だ。

先行拠点はローカル開拓が鍵

 先行する中国とタイは、ローカル企業の攻略が課題となる。とくに中国では、日系企業向けビジネスで新規案件の獲得に苦戦しており、上海法人の2014年度(14年12月期)の売上高は前年割れした。そこで上海法人では、大塚博文董事長が、4月1日付で本社の執行役員グローバルビジネス推進本部副本部長に就任。日本本社と中国法人との連携を強化し、グローバルでシステムを統一したいという日系企業の案件獲得に力を注ぐ。同時に、中国人の孫強氏を新たな総経理に抜擢し、現地化を推進。製薬メーカーや、個別の受注生産を請け負う機械メーカーなど、品質管理の要求が厳しい業種を主要ターゲットに据えて、日系企業だけでなく、ローカル企業の開拓も積極的に行う。孫総経理は、「2015年はMCFrameのライセンスを昨年の倍以上売りたい」と意欲を示している。

現地サポート体制は万全 組織の「現地化」も進める

孫強
総経理
 日系企業の海外拠点に向けたERP製品の提案は、他の日系ITベンダーも攻勢を強めているビジネスだが、B-EN-Gが自社の強みとして打ち出すのは、現地でのサポート体制だ。喜多井執行役員は「アジア、ASEANといっても一括りにできる市場ではなく、日系企業向けのビジネスでも国ごとの状況に応じたローカルtoローカルの活動が必要になる。競合するグローバルERPを扱う日系ITベンダーでも、ASEANではそうした取り組みができていないことが多いが、当社は現地に常駐しているスタッフが、顔が見えるかたちでサポートできるのが大きな強み。二つの現地法人を新たに立ち上げたことで、そうした動きを加速させることができる」と期待を寄せる。

 このセールスポイントをさらに強化するために、現地採用のマネージャー層育成も積極的に進めている。日本からは、彼らの教育と顧客への提案、デリバリ、サポート対応など、多様な業務をマネジメントできる中堅社員を選抜して出向させているほか、上海法人のスタッフも適宜サポートに派遣。組織の「現地化」を進めて、インドネシア、シンガポールの現地法人でも、日系企業以外の顧客開拓を徐々に本格化させる意向だ。