NTTデータと日本総合研究所の合弁SIerのJSOL(中村充孝社長)は、ユーザー企業の“デジタル経営”支援を本格化させている。まず手始めに取り組んでいるのが強みの一つである製造業の基幹業務や顧客分析、マーケティングの領域で、その中核的な技術として注目しているのがデータをメモリ上で処理するインメモリDB「HANA」を採用した「SAP Business Suite 4 SAP HANA(SAP S/4HANA)」だ。JSOLは複数のERP(統合基幹業務システム)を使ったSI(システム構築)を手がけているが、「HANAはデジタル経営、リアルタイム経営を実現するのに、非常に役立つツール」(増田裕一・執行役員製造ビジネス事業部長)と位置づけている。

JSOL
増田裕一
執行役員
 JSOLが考える「デジタル経営」とは、ソーシャルメディアやスマートフォン、自動車、各種IoT(モノのインターネット)デバイスなどから、リアルタイムに集まってくるデータを、企業の経営判断やマーケティングに生かし、ビジネスを伸ばすことを指す。従来のERPは、「データベースが統合されているという点では画期的だったが、ERPが登場した当時の技術では本当の意味でのリアルタイム処理は難しかった」(同)といい、ERPベンダー大手のSAPがこの問題を解決する回答の一つとして出したのがHANAだと増田執行役員はみている。

 HANAはデータをメモリ上で処理するため従来型のデータベースに比べて処理速度が飛躍的に高まっている。JSOLではこの技術をユーザーである製造業の次世代ERPや顧客分析、マーケティングの業務システムに落とし込んでいくことでSIビジネスの拡大につなげる戦略を採る。

 JSOLが強みの一つとする製造業向けSIのなかでも、製薬業の主要顧客である医療・介護を巡る制度改正は、システム刷新の大きなチャンスと捉える。国主導で医療分野の「地域医療連携ネットワーク」や、介護分野の「地域包括ケアシステム」を推進しており、「製薬業ユーザーが直面する事業環境の変化はとても大きく“変化をチャンス”にするいい機会」とし、これを機にリアルタイム処理を得意とするHANAをはじめとしたERPの刷新、より一段のデジタル経営の推進を支援していく方針を示す。

 ユーザー企業が、市場の変化を迅速に捉え、自社のビジネスに反映していくには、基幹業務システムそのものの抜本的な処理能力や処理速度の増大を図っていかなければならない。このことがJSOLにとってのビジネスチャンスにもつながるわけだ。

 製造業領域では、製薬と食品、消費財、自動車、機械を五大領域と位置づけており、リアルタイム処理を軸としたERPやCRM(顧客情報管理)によるデジタル経営の推進によって、同社では、五大領域におけるSIビジネスの規模を向こう3年で3割程度伸ばしていきたいとしている。(安藤章司)