東京大学発のITベンチャー、IzumoBASE(イズモベース、荒川淳平社長)は、データを一定数のピースに分割する「秘密分散機能」搭載で世界初のSDS(Software-Defined Storage)製品「IzumoFS(イズモエフエス)」を開発したと発表した。同製品は、競合のスケールアウト型NASに比べ、コストを30%程度削減できる。販売・サポートパートナーのユニアデックスなど3社と共同で、個人情報保護が厳格な医療や行政機関、映像業界などに拡販する。

 IzumoFSは、スケールアウトNASをソフトウェアで実現する次世代SDS製品だ。汎用のLinuxサーバー上で動作するソフトとして、複数のサーバーを束ねてスケールアウトNASを容易に構築可能。拠点をまたいだ広域クラスタリングをサポートしているため、3台からスモールスタートで簡単にディザスタリカバリ(DR)対策ができる。

 秘密分散機能は、秘密にしたい情報を保護するためのセキュリティ技術の一つだ。IzumoFSでは、秘密分散方式として、しきい値法を採用。具体的には、リアルタイムにデータを一定のピースに分割し各ノードに均等格納する。分割したピースが一定数集まらなければ、データを復元できない状態にする。これにより、万が一、サーバーが盗難されても、格納データは部分的にも解読することが不可能となる。サーバーが故障した場合には、一定数のピースが集まれば、無停止でサービスを継続することができる。

 荒川社長は、「複数のピースに分散しデータを保護するライブラリタイプの手法は以前から存在する。だが、これらのタイプは生データを一旦書き込む際に、ピース単位で標的型攻撃を受けると、データ漏えいの危険がある」と、一時的にもデータをローカル環境に書き込まない方法を開発したという。

 従来のストレージはベンダー独自のOSやチップ、きょう体で構成される巨大で高価な専用装置が必要だった。しかし、一旦きょう体が故障すると影響が甚大で、容量増強にはサービス停止と買い替えが不可欠。人的にも、専門知識をもつ運用管理者が必要だ。これら問題を抱える企業に対し、ベンダーに依存せずきょう体故障の影響を受けない同製品を開発した。荒川社長は、「サーバーを追加するだけで、容量と性能を無停止で増強できる。統合された仮想化ストレージとして容易に運用管理できる」と、他社優位性を強調する。

 競合製品としては、EMCのスケールアウトNAS「EMC Isilon」などを挙げるが、「導入・運用コストは全体として30・40%程度削減できる」(高岡昇平取締役)と話す。パートナー企業として、クリエーションライン、ネットワークバリューコンポネンツ、ユニアデックスの3社と協業しており、これらのパートナー経由で販売を行う予定。保守サポートは、ユニアデックスとともに提供し、全国24時間365日の日本語サポート体制を整えている。(谷畑良胤)

(左から)IzumoBASEの荒川淳平社長と高岡昇平取締役