中国では多くの学生が卒業を控え、キャンパスを離れる時期を迎える。大学の入学、卒業時期は日本と異なり、9月入学で卒業は6月だ。

 中国でオンラインリクルート事業を手がける「前程無優(51job)」は、「2016、新卒求職状況調査報告」を4月22日に発表した。株の暴落や地方都市の財政難、地域格差など、多くの問題を抱えながら急成長から緩やかな経済成長に移行している中国。16年新卒の雇用契約率は全国的には低いが、特定企業の新卒募集への意欲は高いと分析している。

 調査は、30都市227か所の4年制の大学卒業予定者(16年卒)、修士、博士学位終了見込み者を対象(計2580人)に行った。そのうち、26%の人が進学の道を選び、3%が公務員試験、1.3%が起業するという結果で、これらが全体の3割を占める。残り7割のうち、43.3%はすでに内定・雇用契約を結んでいる。ただ、このなかの25%は内定を取ったが、慎重に選びたいとなっている。また、17.9%は仕事を探さないと答え、6.7%が就職先がみつからないと答えた。調査は、北京大学や清華大学など重点大学の学生が6割以上を占めており、高技能、高学歴、専門性が高い人材に対する企業の採用意欲は高いとみられる。

 15年には、「互聯網+(インターネットプラス)」や「中国製造2025」などの国の政策発表があり、インターネット業界やソフトウェア業界では求人数が増加する一方だ。ソフトウェア業界は、人が流動しやすく離職率が高い。51jobの調べによると、中国の一級都市におけるソフトウェア事業者の平均年収は9万4371元(約165万円)で、前年同期比で9.3%増。一級都市以外の都市でのソフトウェア事業者の平均年収は一級都市の約6割にとどまる。日本のオフショア開発を手がけてきた企業は、昨今の円安や人件費高騰の影響を受け、存続の危機にさらされていた。そこで、ソフトウェア開発の下流工程を、二、三級都市に移すなど、事業再編を行い、コスト低減を図っている。


 中国では、インターネットやソフトウェア業界の人材不足問題が続いている。大手ICT企業は、オープンな企業文化やキャリアプランに合った昇進制度、社員持ち株制度、フレキシブルなワークスタイルなど、さまざま人事制度を導入し、人材の獲得や流失を防ごうと必死だ。16年の大学以上の学歴をもつ新卒者は中国全体で765万人になる見込みだが、いかによい人材を獲得するか。各企業では最終仕上げ時期を迎える。(文/鄭麗花)