ネット通販(EC)大手アリババや京東といったECチャネルの拡大、順豊速運を代表とする物流企業の急成長、「Alipay(支付宝)」や「Wechat Pay(微信支付)」など電子決済サービスの普及で、ECは生活に欠かせない存在となった。だが、ECでの偽物横行に加え、「衣食住」に関わる製品の安全問題で、市場で流通する中国製製品への不信感が高まった。これらの事情もあり、消費者は信頼のおける海外製品を求める傾向にあるため、ニーズが上昇、越境ECが注目されるようになった。三菱総合研究所(MRI)の最新研究にもとづいて、中国越境EC市場の今をレポートする。

 グローバル越境EC市場は、年平均27%で成長し、2014年の2300億ドルから、20年には9940億ドルの市場規模に達すると予測(アクセンチュア「グローバル越境B2CEC市場展望」により)。そのなかで、中国のBtoC越境市場が世界の25%を占め、最大の市場になるとした。現在、「天猫国際」や「京東全球購」など、大手EC企業のアリババや京東の越境EC版のほか、「Bolome」、「小紅書」など、越境ECに特化した新興ECプラットフォームも次々と登場している。


 小紅書は、米国や日本、韓国などの、買い物攻略情報の提供をコンセプトに開発された。海外現地の買い物の達人が、買い物の知識や経験を共有し、商品購買につなげる。ユニークな発想を生かしたマーケティング戦略が功を奏し、消費者に広まった。一方、Bolomeは、海外現地との実況動画中継によって、消費者とインタラクティブに交流し、商品を販売する。店頭価格と同じ価格で買えるのも消費者が魅力に感じるポイントだ。

 三菱総合研究所の劉瀟瀟研究員は、「中国越境ECは市場が大きく、未参入企業にとってチャンスだ」とし、インバウンドで人気となった商品は、越境ECでも人気になる可能性が高く、インバウンドと連携した事業戦略立案の必要性を語る。ターゲットとするユーザーや製品の特性に合ったプラットフォームを選ぶことが、越境EC事業スタートの重要な要素となる。