【上海発】中国でSI・ITサービス事業を手がける日系IT企業の間で、システム構築案件での過剰な価格競争に懸念を示す声が増えている。単価下落が定着してしまえば、利益を捻出することが困難になるからだ。

 一般的に、中国国内のシステム構築案件は、日本国内と比べて単価が安い。このことは、ローカル企業だけでなく、日系企業の案件でも同様だ。多くの日系企業は、専任のIT担当者がおらず、IT予算の額も少ない。安価なサービスを提供できるローカルIT企業に加え、従来オフショア開発を手がけてきた企業が現地ビジネスにシフトしていることもあって、日系IT企業は厳しいコスト競争に迫られている。

 最近では、価格競争が過熱しすぎているとの見方が強い。ある日系SIerの営業マネージャーは、「受注見込みが低い案件で、最大限の値下げ金額を提示したところ、さらに安い金額を競合の日系ベンダーに提示されてあきらめた」という。別の日系SIer総経理は、「ある案件で競合した大手ITベンダーは、不採算としか思えない金額で受注に結びつけていた」と話す。これには、「顧客アカウントにつき、一つの地域では不採算でも、グローバル全体で利益を出せれば問題ない」と判断している日系IT企業があることが少なからず影響している。

 しかし、価格下落が続けば、不採算案件しか受注できないという事態も発生しかねない。価格は顧客のベンダー選定における重要な要素だが、ITベンダー側には、製品・サービスの品質など、付加価値の高さで競争する姿勢が求められる。(真鍋 武)