Amazon Web Services(AWS)中国法人の亜馬遜通技術服務(北京)は8月1日、北京リージョンの展開について、地場データセンター(DC)事業者の北京光環新網科技(光環新網=Sinnet)との新たな提携を発表した。これによって、同リージョンで展開するクラウドサービスは今後、光環新網が運営・提供の主体になる。(真鍋 武)

 AWSにとって今回の提携の狙いは、中国の通信ライセンス規制に適合させるかたちで、北京リージョンを提供することにある。中国では、通信ビジネスに関する規制が厳しく、外資企業がクラウドサービスを展開するには、自社単独では事実上、取得することができない通信ライセンスが必須要素となっている。そこで、AWSは2014年、同ライセンスを有する光環新網との提携のもと、北京リージョンの提供を開始した。しかし、これまでの提携では、サーバーはAWS、DCは光環新網といったかたちで、サービスの運営・提供主体が分かれており、ユーザーは個別に契約する仕組みだった。「中国の法規制に完全に適合しているとはいいにくい部分があった」(AWSパートナー企業の担当者)という。

 新たな提携では、光環新網がサーバーとDCの運営・提供を一手に担い、AWSは後方で技術支援を担当するモデルとなる。北京リージョンは「AWS operated by Sinnet」として提供され、ユーザーの契約先も光環新網に一本化されるという。調査会社IDC中国は、「AWSは長期的にグレーゾーンを徘徊するのではなく、規制を満たす準備を整えた」と分析。AWSは、これまで北京リージョンを機能が限られた「限定プレビュー」として提供してきたが、今回の提携によって、本格的なサービスの提供を近いうちに開始するものとみられる。

 中国でクラウドサービスを手がける外資系ITベンダーのなかには、通信ライセンスを地場企業から借りつつも、収益を最大化するために、細かな契約方法などは、規制のグレーゾーンをかいくぐってサービスを提供しているケースが少なくない。今回、グローバル最大のクラウドサービス事業者であるAWSが、顧客から直接収益をあげるビジネスモデルを断念したことは、中国市場における外資系ITベンダーのクラウド展開のあり方を方向づける一つの要因となりそうだ。

 なお、提携先の光環新網は、1991年に設立したDC事業者で、2015年度の売上高は5億9153万413元。企業買収によって事業規模を拡大しており、16年度第1四半期の売上高は前年同期比156.7%と拡大している。