過去最高のメダル獲得という日本選手の大活躍で盛り上がったリオデジャネイロ五輪。スポーツの楽しさを再認識した祭典であった。

左からEVIDIAN-BULL JAPANのオリビエ・イサテル・日本統括マネージャー 最高技術責任者、
仏Atosのルイマリー・フーシャー・BDS Cybersecurity IAM Director、
アトスの平田柔・代表取締役

 その五輪をITで支えたのが、72か国に拠点を展開する仏大手SIerのAtosである。同社は五輪のグローバルITパートナーであり、リオデジャネイロ五輪では選手や大会関係者など、約30万人を管理するシステムを提供した。また、五輪公式データの配信システムや大会サイトのサイバーアタック監視なども行った。アトス(日本法人)の平田柔・代表取締役によると、「ロンドン五輪では、大会期間中に2億2000万回のアタックがあった」という。今回のリオデジャネイロ五輪では、それを上回るアタックがあったと予想される。

 仏Atosは2001年から24年まで五輪のグローバルITパートナー契約を結んでいるため、東京五輪のシステムも同社が手がけることになる。「東京五輪では来場者の管理も含め、約1億人のID管理を行うシステムを構築する予定」と平田代表取締役は語る。

 そのID管理は、仏Atosの注力分野である。主な製品としては、アイデンティティ管理の「Evidian Identity & Access Manager」、ユーザー認証の「Evidian Authentication Manager」、シングルサインオンの「Evidian Enterprise SSO」、Web SSOの「Evidian Web Access Manager」がある。ユーザーの要求に応じて、製品を組み合わせて提供している。

 ID管理のトレンドについて、仏Atosのルイマリー・フーシャー・BDS Cybersecurity IAM Directorは、「クラウド化の進展やモバイルデバイスの多様化により、場所やデバイスを考慮したセキュリティ対策が求められている。例えば、同じシステムを使うとしても、社内はパスワードでのアクセスが可能で、社外であればICカードとパスワードといった多要素認証を要求するというケースがある」と語る。また、「外部からのアタックをシステムが受けている状況では、リスク回避のために、正規のユーザーであってもアクセスを自動で遮断するといった状況に応じた対応が求められている」という。仏Atosでは、こうした高度なセキュリティ対策を施した新バージョンを年内にリリースする予定である。

 日本でEvidianシリーズを取り扱うのは、グループ企業のEVIDIAN-BULL JAPAN。仏AtosのBullグループ買収の経緯などにより、日本国内では別会社になっている。「日本でも、仏本社と同様に製品を展開していく」と、オリビエ・イサテル・日本統括マネージャー 最高技術責任者は語る。さまざまなシステムを一回のサインオンで利用したいという利便性と、セキュリティ確保との両立ができるソリューション、そして東京五輪を追い風に、日本市場の開拓を目指す。(畔上文昭)