「社内に存在する複数のジョブ管理基盤を一本化したい」。ユーザー企業によっては、システム構築の経緯から、数種類のジョブ管理基盤が稼働している。その時々では、最適なジョブ管理基盤を導入しているはずだが、IT環境の変化によって状況も変わってくる。また、運用担当者の異動や運用管理の効率化などを考慮すると、ジョブ管理基盤は同じ製品で統一したほうがいい。こうした背景を考慮して、アシストが8月30日に開始したのが、「JP1リプレースアセスメントサービス」である。

リプレースを“無償”で支援

 社内で稼働しているジョブ管理基盤を統一したほうがいいということについては、多くのユーザー企業が理解している。ただ、ジョブ管理基盤が担う処理内容を分析するのが困難であったり、リスクの範囲を特定しにくかったりするため、統一せずに使い続けているというケースがある。

システムソフトウェア事業部
技術統括部 技術支援2部
山上 宙氏(左)、谷内怜子氏

 「ハードウェアは定期的に交換するなどして、コストやリソースの最適化を行う。ジョブ管理基盤も、そうしたタイミングで見直すべきだが、別の製品に移行するリスクやスケジュールなどが把握しにくいなどの不安から、使い続けてしまう。その不安要素を取り除くことができれば、ジョブ管理基盤の統一を推進できるのではないかと考えた」と、システムソフトウェア事業部 技術統括部 技術支援2部の山上宙氏はJP1リプレースアセスメントサービスに取り組むきっかけを語る(図1、図2)。



 JP1リプレースアセスメントサービスは、JP1以外のジョブ管理基盤を利用しているユーザー企業に対し、JP1へのリプレースをサポートするための無償のサービスである。同サービスで提供するのは、「JP1リプレースアセスメントレポート」「JP1/AJS3体験版」「アシストJP1サポートトライアルサービス」の三つ。JP1リプレースアセスメントレポートでは、既存の環境を分析し、JP1にリプレースするにあたってのリスクの洗い出しや、どれくらいの作業になるのかといった検討材料を提供する。業務の停止が必要など、本番環境への影響もしっかり伝えるという。また、手順書などの運用業務の変更点などもレポートにまとめる。

 アシストでは、ジョブ管理基盤をリプレースするためのツールも用意している。「特殊な使い方をしていなければ、ほぼツールで移行できる」と、山上氏。ツールで移行できない部分については、JP1上でどのように運用するかなどについて、打ち合わせをしながら決めていくという。

クラウドでジョブ管理が変化

 クラウドの普及も、ジョブ管理基盤をリプレースするきっかけになっているという。「システム環境をオンプレミスからクラウドに移行するにあたって、ジョブ管理基盤の統合がクローズアップされるようになってきた。というのも、クラウドによってサーバーなどを保有する必要がなくなり、“標準化”への意識が、例えばOSからミドルウェアへと、レイヤが上がっている。そのため、ジョブ管理基盤を社内で標準化しようという動きになってきている」と、システムソフトウェア事業部 技術統括部 技術支援2部の谷内怜子氏はユーザー動向の変化を捉えている。クラウド環境への移行とともにジョブ管理基盤をリプレースするユーザー企業が多いという。

 JP1へのリプレースをサポートする理由としては、「国内での実績に加え、品質のよさと大規模システムに対応できるという点で、JP1を推奨している」と山上氏。JP1は今年、メジャーバージョンアップも行われている。

 アシストは、JP1リプレースアセスメントサービスを開始するにあたって、5社のリプレース案件をベースにニーズを確認しながら、サービス化を進めたという。

 同サービスは8月30日にスタート。2017年3月末までに、30社に提供することを目標としている。今後については、「JP1のユーザーでも、社内で別のジョブ管理基盤を使っているケースが多い」(山上氏)ため、同社が運営する「JP1ユーザ会」で現状の課題を共有し、JP1リプレースアセスメントサービスをブラッシュアップしていく予定である。


 JP1リプレースアセスメントサービスの後にユーザー企業がリプレースを望む場合は、作業を進めやすいように役割分担や既存環境の最適化を行う「マイグレーションサービス(電光石火)」を提供(図3)。その後に、リプレースを実施するという流れを想定している。JP1リプレースアセスメントサービスをきっかけに、JP1の販売を伸ばしていく考えだ。(畔上文昭)