ネットワークテスト機器大手のイクシアコミュニケーションズ(伊吹仁志・代表取締役)は、従来は通信事業者やネットワーク機器メーカーを主な顧客としていたが、近年一般企業向けの製品販売を拡大している。8月末に来日した米国本社のベサニー・メイヤー社長兼CEOに、事業の概況と今後の戦略を聞いた。

米イクシア
ベサニー・メイヤー
社長兼CEO
 同社はネットワークの品質を評価するための測定機器や、試験用のトラフィックを発生するツールなどのテストソリューションを主力としてきた。それにネットワーク可視化、セキュリティを加えた三つの領域が現在の事業の柱となっている。このうち、主に可視化とセキュリティについて、近年は通信事業者などの特定業種だけではなく、一般企業への販売を強化している。メイヤーCEOは「2013年度、グローバルの売り上げのうちエンタープライズ(一般企業)向けは約15%だったが、現在は約30%まで拡大している。日本市場ではこれまで通信事業者向けのビジネスで大きな成功を収めてきたが、エンタープライズ市場でも拡大したい」と話し、すでに海外では同社の可視化・セキュリティ製品が多くの顧客から評価を得ていると強調する。

 今年3月、ネットワーク可視化の新製品「Vision ONE」を発売した。「特定のプロトコルだけに特化しているのではなく、例えば『この端末は今Facebookにアクセスしている』『ある国との通信が急増している』といったように、管理者は自社のネットワーク上で今まさに何が起こっているかを詳細に把握できる」(メイヤーCEO)のが特徴。また、既知の危険な相手先との通信を遮断するセキュリティ機器「ThreatARMOR」も、一般企業やサービス事業者向けの販売に注力する製品だ。トラフィックの増大によって、既設のファイアウォールなどが性能のボトルネックになるケースが増えているが、ThreatARMORで不要な通信をあらかじめ排除することによって、ファイアウォールを高価なものに買い替えなくてもネットワークを安全で快適な状態に保つことができるという。

 同社が現在開発を進めているのが、クラウド環境に分散したITインフラの状態を統合的に可視化できる「CloudLens」だ。メイヤーCEOは「仮想化やクラウドへの移行が進み、アプリケーションは分散化されたサーバーのうえで実行され、可視化が難しくなっている。しかし、可視性が得られないと必要なパフォーマンスを出すためのチューニングや、適切なセキュリティ設定はできない」と指摘し、クラウドの普及により可視化ソリューションの重要性はさらに高まっていると説明する。CloudLensは、スケールアウト/インによってサーバーの数や物理的な場所が変わってもその変化を自動的に検知し、複数のクラウドやデータセンターにまたがって情報の収集やポリシーの適用が可能という。現在は希望する顧客にベータ版を提供しており、2017年の早い段階で正式リリースする予定。

 日本市場では今年、一般企業向けの販売体制を確立するためチャネル営業の専任担当者を設置した。ディストリビュータやリセラーからなる販売網を目下構築しており、パートナー各社のもつ商材とイクシア製品を組み合わせたソリューション提案による顧客獲得を目指している。(日高 彰)