東芝インダストリアルICTソリューション社は11月1日から2日間、「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2016」(東芝オープンイノベーションフェア)を都内で開催している。フェアの目玉は、同社が独自に開発したIoTアーキテクチャ「SPINEX(スパインエックス)」と、クラウドAI(人工知能)サービス「RECAIUS(リカイアス)」の2つ。「SPINEX」は今回のフェアのタイミングに合わせて新たに打ち出したブランドで、「RECAIUS」はラインアップを一段と拡充した。

  今回、初めて打ち出したIoTアーキテクチャ「SPINEX」は、IoTの“デバイス側での情報処理”を重視している点が最大の特徴としている。「SPINEX」は“脊椎(せきつい)”を意味する英語「Spine」から着想を得たもので、「IoTに当てはめてみると、IoTで得た情報をクラウド上のAI(頭脳)で処理せず、IoTのデバイス側(脊椎)で処理する“脊髄反射”のような役割も果たす」ことで、ユーザーのビジネス成功の重要な骨格(脊椎)として貢献すると、東芝の深澤滋・IoTコンサルティング&事業開発部参事は話す。

 
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東芝の深澤滋・IoTコンサルティング&事業開発部参事

 “脊髄反射”をIoTアーキテクチャに取り入れた背景には、例えば、駅構内や生産ラインの監視で、異常が起きたときにセンサが現場で判断して、瞬時に通報したり、機械を止めたりできるようになる。センサからデータをクラウドに上げてAIで分析していては、どうしても瞬発力に欠ける。さらに、今後、増え続けるデータにスピード感をもって対応するには、デバイス(センサ)側の処理が不可欠になると東芝ではみている。

 クラウドAIサービス「RECAIUS」では、映像や音声の処理能力を強化した。例えば、「人物ファインダー」機能では、顔や性別、年齢といった個々人の情報を読み取る能力に加えて、「群衆の動きの意味も同時に理解する」(東芝の仲義行・システム&セキュリティ技術部主務)機能を重視して開発した。

 これを分かりやすく例えるならば、駅構内やショッピングセンターなどで、「人だかり」や「群衆の移動」の現象が起きていたとする。これがイベントに集まっている群衆なのか、誰かが倒れていて救護に集まった群衆なのか、あるいは何かの脅威があって人が逃げている状態なのかを、「RECAIUS」が群衆の動きから類推し、適切に判断して管理者に通報する。こうした「RECAIUS」の認識力が評価され、「顧客からの引き合いが着実に増えている」(仲主務)と話す。
 
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東芝の仲義行・システム&セキュリティ技術部主務

 また、ソフトウェアによる制御が急ピッチで進む自動車向けには、次世代車載機器向けソフトウェアプラットフォーム「Next CGW(ネクスト・セントラル・ゲートウェイ)」を発表。「Next CGW」は自動車を常時クラウドにつなげるためのプラットフォームで、東芝が独自に開発したものだ。自動車のECU(電子制御ユニット)やカーナビなどの情報系のデータを一元的に管理。自動車がオンラインの時間帯に差分をやりとりしながら整合性をとっていく仕組みが特徴だ。

  トンネルや地下駐車場など、自動車には“通信できない”時間帯が、どうしても発生してしまう。「Next CGW」では、こうしたオフライン時を見越して、車内のストレージでソフトウェアやコンテンツを管理。オンラインになったときに“差分”をクラウドとやりとりすることで、ユーザーがオンラインなのかオフラインなのか、を気にすることなく、「常に最新の状態を維持」(東芝の大野啓文・オートモーティブ&インダストリーソリューション技術第二担当参事)できるようにする。
 
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東芝の大野啓文・オートモーティブ&インダストリーソリューション技術第二担当参事

 東芝では、こうしたプラットフォームを構築した上で、クラウドAIの「RECAIUS」をはじめとしたアプリケーションやサービスを組み合わせていくことで、車載システム領域での存在感を一段と高めていく方針だ。