組込み総合技術展(ET2016)が横浜で11月16日から始まった。自動車などの制御に使うリアルタイムOSや、準天頂衛星みちびき対応システム、IoT関連の新商材が主要ベンダーが発表している。

 組み込み用の国産リアルタイムOS「iTRON」をベースにさまざまなモジュール開発に取り組む「TOPPERSプロジェクト」(高田広章会長=名古屋大学教授)は、制御系システムと汎用アプリケーションをマルチコアのCPUで処理する「ヘテロジニアス・マルチプロセッサ」対応を発表した。制御系と汎用アプリをつなぐ「MDCOM(マルチドメイン・コミュニケーションモジュール)」をこの12月に一般公開する。

 今回はiTRON系のリアルタイムOSと、Linuxなどの汎用OSをマルチコアのCPUで同時に稼働させるものだが、「今後この技術は、例えば車載OSのAUTOSARの制御用とアプリケーション用の両方をひとつのマルチコアCPUで処理することなどに応用できる」(高田会長)と、多方面で発展の余地が大きいと話した。
 
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TOPPERSプロジェクトの高田広章会長

 AUTOSARでは制御用の「クラッシックプラットフォーム」と、先進運転支援システム(ADAS)などを視野に入れた「アダプティブプラットフォーム」の2つに分かれており、前者がリアルタイムOS系、後者が汎用OS系のアーキテクチャになる見通し。
 
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APTJの高嶋博之社長

 また、TOPPERSプロジェクト会員の1社であるAPTJの高嶋博之社長は、同社が開発する「AUTOSAR準拠のソフトウェアプラットフォームの名称を『Julinar(ジュリナー)』と命名した」と発表した。同じくTOPPERSメンバーでAUTOSAR開発で先行するSCSKは、2015年10月に「QINeS-BSW(クインズビーエスダブリュー)」を発表。APTJは今回の「Julinar」の発表によって、商用化に向けたブランド形成を本格化させる。
 
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APTJが発表したAUTOSAR準拠のソフトウェアプラットフォームのブランド名「Julinar(ジュリナー)」のロゴ

 富士ソフトは、IoTのデバイスやデータの制御にプログラム可能な集積回路「FPGA」を活用したシステムを発表した。産業機械の監視や防犯カメラの映像などの用途では、データが無尽蔵に増えてしまい、突発的な事象への対応が遅れてしまう課題があった。富士ソフトではIoTデバイスとクラウド/ビッグデータ処理の中間にFPGAを挟み込むことで、「必要なデータのみクラウド側に上げて、もし異常が検知されたときはFPGAから直接デバイスを制御したり、警報を鳴らしたりする制御を行う」(石井友盛・エンベデッドプロダクト事業推進部部長)ことで、IoTの課題を解決していくと話す。
 
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富士ソフトの石井友盛・エンベデッドプロダクト事業推進部部長

 コアは、早ければ2017年にも追加で3機打ち上げられる、準天頂衛星みちびきへの対応を着々と進めている。2018年には商用サービスが始まるのを控えて、「現行機1機と新規追加の3機分のいずれの衛星にも対応できるシステム」(田村謙太郎・営業統括部部長)を今回のET2016で発表。また、地上基地局の補助を得なくても、みちびきの電波のみで「センチメートル単位での精密測位を可能にする」(本田寿浩・営業統括部ソリューション担当課長)ことで利便性を高め、本格的な事業化に向けてアクセルを踏んでいく構えだ。
 
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コアの田村謙太郎部長(左)と本田寿浩課長