BCNは12月2日、ITメーカーとIT販社をつなぐプライベートイベント「BCNフォーラム」を東京・ベルサール九段で開催した。「IoT」「情報セキュリティ」の二つをテーマに、2016年に話題になったことや自社の製品・サービスの優位性をITベンダーが披露した。

 冒頭、『週刊BCN』編集長の畔上文昭が挨拶。基調講演では、日本経済研究所の専務理事(チーフエコノミスト)で地域未来研究センター長の鍋山徹氏が「IoTと地方創生-10のエピソード-」と題して講演した。鍋山氏は、「IoTビジネスは、結局データを活用する企業の本社がある東京にお金が集まるだけ、というのが地方にとっての課題」と訴える一方、「地方はIT、製造業、サービス業など異業種の現場や人間関係の距離がほどよい近さにあるのが大きな強み」と強調。そのうえで、「(新しいビジネスを発想するための)“気づき”が生まれやすいこの環境を生かして、地方では隙間を取っていくようなビジネスモデルに可能性がある」と説いた。
 
201612051159_1.jpg
基調講演に登壇した鍋山徹氏

 続いて、特別講演として日本IBMの田口光一・理事IBMクラウド事業本部クラウド・サービス事業部長が登壇し、「コグニティブ・ビジネスの実現に最適なクラウド・プラットフォームとは」と題して講演。田口事業部長は、自社のクラウド・プラットフォームが最適であることを示すために三つの強みをアピール。「長年の間、エンタープライズのニーズに応えてきたこと、『IBM BLuemix』を通じてイノベーションを実現すること、すでに33種類のWatson APIがBluemix上で利用可能となっている」と述べた。
 
201612051159_2.jpg
日本IBMの田口光一事業部長

 午後のセッションは三つの会場で展開。「IoTフォーラム」の「A会場」では、ソフトバンク コマース&サービスでドローン関連ビジネスなどを担当するICT事業本部MD本部ドローン&ロボティクスマーケティング室の湯浅昭吾氏が登壇した。「ビジネスにドローンを!~ドローンビジネス概況とDroneBank~」というタイトルのこの講演では、ドローンの現状について説明。湯浅氏は、「産業用ドローンの目覚ましい進歩、関係法の存在とその対応、各種法人向けサービスの拡充などが起こっている。このような状況に対応していくことが使命」と意気込んだ。

 続いて、エナジー・ソリューションズの森上寿生社長が、「ドローン&クラウドを活用したソーラーモジュール赤外線検査サービス」を説明。森上社長は、太陽光発電所に設置されたソーラーモジュールの赤外線検査をドローンで検査し、データを解析。報告書を自動で作成しクラウド上に保存するサービス「DroneEye(ドローンアイ)」について解説し、「他社とは異なる新たなビジネスモデルだ」と述べた。

 次の講演では、日本マイクロソフトと東京エレクトロンデバイスの担当者が登壇。「Microsoft Azureを基盤した IoT ソリューションとビジネスご支援施策」と題して、パートナーとの協業をアピールした。日本マイクロソフトの中嶋信行・SMB営業統括本部CSPパートナー営業本部シニアクラウドセールスマネージャーは、Microsoft Azure関連ビジネスを拡大するうえで取り組んでいることについて、「ディストリビュータやSIerがパートナーシップを深めてクラウドサービスを売りやすい環境を整えている」とし、とくにクラウド ソリューション プロバイダ向けのパートナープログラム「Microsoft CSP」の強化に力を入れているという。

 そのパートナーである東京エレクトロンデバイスでも、リセラー向けに支援プログラムを提供しており「ぜひ、一緒にビジネスを拡大しましょう」(西脇章彦・IoTカンパニーエンベデッドソリューション部部長代理)と聴講者に呼びかけた。

 A会場の最後は、日立ソリューションズの高橋明男・社会イノベーションシステム事業部副事業部長(兼)Lumada企画推進室副室長が、「【Lumadaユースケース】遠隔監視サービスは社会イノベーションの起爆剤?」と題して講演。「Lumada」がユーザー企業のデータを、イルミネーションを施したように照らして輝かせる「illuminate data」と位置づけて、光を当てて隠れた関係を解明するプラットフォームで「お客様の事業に役立つ」(高橋副事業部長)として、Lumadaの活用事例を披露した。

 IoTフォーラムの「B会場」では、まずソラコムの二神敬輔・セールスマネージャーが、「IoT活用を加速する“通信プラットフォーム” その仕組みとビジネス活用事例」をテーマに、「われわれは、クラウドの力をうまく活用しながらネットワークにイノベーションを起こし、たくさんのIoTサービスが出てくる環境をつくっていく」と断言した。

 次いで、「『つながる経済』がもたらす産業の新潮流と日本製造業の生き残り策」を説明したのは、東レ経営研究所の増田貴司・理事産業経済調査部長チーフエコノミスト。「あらゆる業種の境界がゆらぎつつある。モノとサービスの総合力で新しい収益の仕組みを作り、自ら新たな異業種間競争を仕掛けることが必要」とし、IoT時代を生き残るために日本企業に何が必要かを語った。

 インフォテリアの講演では、垂見智真・ASTERIA事業本部マーケティング部長が「Infoteria Simplify IoT -カンタンに実現する、データ価値の最大化」と題して、「一つのソリューションでIoTを網羅するのは不可能であり、システムやデータをつなぐことで新しい価値をつくりだすことができる」と訴えた。

 九州経済調査協会の中川敬基・調査研究部研究主査は、「IoTを活用した地域経済振興の方向性と課題」をテーマに、IoTやインダストリー4.0で生産性の低い生産・サービス現場にIT投資を進める必要があるものの、地方では投資できる分野が限られていることを説明。そのうえで、「単に生産性向上に寄与するだけでなく、その先を見据えた提案を経営者に理解してもらうことが重要」とし、SIerやリセラーの存在が必要になるとアピールした。

 B会場の最後は、SAPジャパンの内藤崇・パートナー営業部パートナービジネスマネージャーで「お客様事例に見るIoTとデジタル変革」を披露。ERPとIoTのデータを融合させるデジタルコア「SAP S/4 HANA」を軸に、「ビジネスパートナーとともにビジネスの革新を実践していく」と、ユーザー企業のリアルタイム経営を強力に後押ししていく方針を示した。

 「情報セキュリティフォーラム」の会場となった「C会場」では、「日本を取り巻くサイバー攻撃に対する経済産業省の取り組み」と題して、経済産業省商務情報政策局の土屋博英・サイバーセキュリティ課サイバーセキュリティ技術戦略企画調整官が、「経営者自身がセキュリティリスクに対する意識を持ち、リーダーシップをとって対策を進めることが大切」と述べ、経済産業省が民間企業向けに策定したセキュリティガイドラインなどを紹介した。

 また、日本ワムネットの石澤幸信社長が「大手100社のセキュリティチェックシートから読み解く!~企業が求めるセキュリティ基準の最新トレンドと導入事例~」と題して講演。「セキュリティチェックシートに関して、以前は個人情報の取り扱いに関する項目が主だったが、最近はそれに加え、インフラ・設備に関する項目が増えてきた。そのようななか、当社のセキュリティに特化したオンラインストレージ『GigaCC』が効果を発揮する」とアピールした。

 ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンの根岸正人社長は、「脅威情報をスコアリングする新しいTotal Securityプラットフォームとは? ~ネットワークからエンドポイント、クラウド型サービス運用まで~」をテーマに、自社製品・サービスの優位性をアピール。根岸社長は、「脅威インテリジェンスを活用し、ネットワークからエンドポイントまで一気通貫で提供する」と述べ、一足早く来年の製品ロードマップを明らかにした。

 続いて、ワンビの加藤貴社長が「ヒヤリングしてわかった!? 金融、医療、学校に合わせたエンドポイントセキュリティ対策とは」と題して講演。加藤社長は、「情報漏えいを防ぐには会社がインフラを整えることが重要。それが社員を守ることにもつながる」と訴えた。

 C会場の最後には、ソリトンシステムズの荒木粧子・マーケティング部エバンジェリストが登壇して「避けられないインシデント、切り札としてのエンドポイントセキュリティ」を説明。荒木エバンジェリストは、「関連企業や取引先を経由した攻撃や、SNS上の情報を利用したソーシャルエンジニアリングなど、犯罪者の攻撃対象は広がっている」と指摘しながら、ネットワーク境界での攻撃検知には限界があるため、端末上での脅威検出・対応支援にフォーカスしたEDR(Endpoint Detection and Response)ツールが求められると訴えた。

 「BCNフォーラム」には、ディストリビュータやSIerを中心に、約400人が来場。各会場とも、聴講者で賑わっていた。
 
201612051159_3.jpg
「BCNフォーラム」に約400人が来場