【大連発】中国国内の人件費高騰を受けて、大連でオフショアアウトソーシングを手がける日系企業が苦戦を強いられている。しかし、なかには成長企業も。コンタクトセンター大手、りらいあコミュニケーションズの中国現地法人である盟世熱線信息技術(大連)(もしもしホットライン大連、佐野研二総経理)は、2017年に60~70人程度の人員増強を計画。従業員数を300人体制に引き上げる。(真鍋 武)

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佐野研二
総経理

 もしもしホットライン大連では、主に日本本社と連携して、チャットなどのカスタマサポート、販売・人事給与・受発注などの業務代行、データエントリーなどのオフショアBPOサービスを展開している。設立は12年4月と、競合と比べて後発だが、業容は順調に拡大。16年度(16年12月期)の売上高は前年比で26.6%伸び、従業員数も30人ほど増えた。

 同社の強みは、競合がほとんど手がけていない高度なアウトソーシングサービスを提供できること。佐野総経理は、「競合大手の人材は日本語スキルが高いが、実際には日本語を駆使する業務を十分に行えていない。一方、当社はそれができる」と説明する。

 例えば、保険会社の審査業務のアウトソーシング案件がそれだ。顧客が申込書に記入した自筆確認の業務では、「さいとう」という名字だけでも「斎藤」「齋藤」「齊藤」などがあり、複雑な漢字を見分ける能力が求められる。こうした判断は特殊な経験を積んだ中国人でなくてはできず、「そもそも顧客がオフショアアウトソーシングできる業務だと考えておらず、案件化されていないことが多い」という。

 これに対して、りらいあコミュニケーションズでは、どの部分が切り出し可能なのか、顧客の業務に深く入り込んでアセスメントを行う。これによって、従来は存在しなかったアウトソーシング案件を創出している。佐野総経理は、「小さな案件を数でこなすのではなく、少数の顧客と深くおつき合いさせていただくのが当社の特徴。蓄積してきた顧客との関係が生きている」と話す。

 こうした業務を遂行するには、大連側にも人員の研修・教育が欠かせない。もしもしホットライン大連では、案件ごとに個別対応し、担当者を2か月ほど日本に送って習得させる手間をかけている。コストは高くつくが、「他社との差異化に加えて、社員のモチベーション向上の観点でも価値がある」(同)という。

 17年は、昨年の為替変動の影響で案件が活発化したことを受け、需要の拡大が見込まれている。「裏で動いている案件が予定通り進めば必要になる」(同)ことから、人員増強を判断した。