【上海発】ITベンチャーの一派(上海)数字科技(邵雷鳴CEO)は、このほど自社開発のモバイルPOSシステム「POSPi」の本格的な販売を開始した。既存システムとのシームレスなデータ連携を強みとしており、グローバル展開する小売業を主要ターゲットに提供していく。(真鍋 武)

 POSPiは、スマートデバイスを活用した小売業向けのモバイルPOSシステム。iPhone/iPadなどに専用アプリケーションをインストールし、バーコードスキャンなどの周辺機器をデバイスに装着して利用する。決済は、VISAなどクレジットや銀聯(UnionPay)、モバイル決済の支付宝(AliPay)など、中国で普及している主要な手段に対応。場所を問わず利用できるため、小売業は接客品質の向上につなげられる。また、スマートデバイスをベースとしているため、従来型POSシステムと比べて初期費用を抑えて導入できるほか、省スペース化を実現する。
 
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「POSPi」を紹介する
邵雷鳴 CEO

 さらに、決済に加えて、会員管理や販売実績管理、レポート分析、勤怠管理などの機能を搭載した。邵CEOは、「例えば、小売業の店員は、顧客との会話のなかで、会員情報から過去の購入データを参照してニーズを引き出すことで、さらなる購買につなげられる」と話す。

 最大の特徴は、「小売業の既存システムとの共存が可能」(同)ということだ。近年、小売業ではモバイルPOSが注目され、中国国内においても関連ソリューションを提供する競合ベンダーは増えているが、実際に導入に至るユーザー層は中小規模の小売業が多い。邵CEOは「アジア地域で国際的な小売業がモバイルPOSを全面導入している例は少ない」とみている。これは、モバイルPOSの導入にあたり、多くの商品数や店舗数、多様で複雑なシステムを抱える小売業では、既存システムとのデータ連携が課題となるからだ。そこで一派(上海)数字科技では、既存システムとのシームレスなデータ連携を実現するミドルウェアを独自開発し、クラウドを経由してリアルタイムに情報を更新できるようにした。

 すでに、第一弾として韓国最大手の化粧品メーカー、アモーレパシフィック・グループ傘下のイニスフリーがPOSPiを導入した。同社は、2012年に中国市場に参入して以来、約300店舗を展開する大手コスメブランド。中国での売上高は、年間57億元に達している。邵CEOは、「国際的な小売業はシステム導入にあたり信頼性を重要視するため、今回の事例は当社にとって大きな一歩となった。実際、現在では世界的な小売業との商談が続々と進行している」と話す。

 今後は、業務機能をさらに拡充し、「小売業の決済と業務を一元的に管理できるモバイルPOSへの発展を目指す」(同)。また、同社は日本を含むグローバル展開を検討しており、市場に精通するパートナー企業の開拓にも意欲を示している。