マルチデバイスで最適配信

 台湾に本社を置く人工知能(AI)テクノロジー企業のAppier(チハン・ユーCEO)の日本法人、Appier Japan(エイピア・ジャパン)は、ユーザーの行動と関心を予測し、マルチデバイスに最適なタイミングで広告を配信するテクノロジーを使い、国内市場の開拓を加速している。2016年には、大塚家具が採用し店舗への送客増加で実績を上げたことで知られるようになった。最近では、電子商取引(EC)サイトや旅行会社、車やスポーツメーカー、ゲーム会社などを対象に採用が広がっている。

 Appierは、ハーバード大学などの研究室に在籍していたチハン・ユーCEOが12年に創業した。アジアを中心に11か国と地域にAIを活用したクロスデバイスターゲティング広告などを展開。ジャフコなど大手投資会社から約55億円の出資を受けている。日本法人は、14年7月に設立し、元楽天の井料武志氏が日本のセールス担当 ヴァイスプレジデントに就任している。

 同社のAIを活用したCrossXテクノロジーは、パソコンやスマートフォン(スマホ)、タブレット端末などのユーザーがたどるクロスデバイスでの行動を分単位で予測できるアルゴリズムをもち、最適なオーディエンスを特定し捕捉する。

 例えば、あるユーザーがパソコンでウェブサイトを閲覧したら、AIが同一のユーザーが使用している他のスマホなどのデバイスを特定しデータベース(DB)を構築して、閲覧履歴をもとに最適な広告を配信する。AIが適正価格を予測し最適な入札も行う。
 
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井料武志
日本のセールス担当
ヴァイスプレジデント

 井料ヴァイスプレジデントは、「CookieやデバイスID、提携メディアのログインなどの情報を使用し、日本国内だけで数千万人の匿名のクロススクリーンDBを構築している」と説明する。

 大塚家具が採用したのは、同社の「CrossXプログラマティックプラットフォーム」で、これにより自社で展開するキャンペーンに、ユーザーを自動的に誘導できるようになった。「月単位のキャンペーン終了後には、もっともクリック率の高い層が35~44歳だったことも判明。既存顧客のボリュームゾーンより低年齢の層が興味を示していることがわかり、的確に訴求できるようになった」(井料ヴァイスプレジデント)という。

 最近のユーザーは、多様なデバイスをもっている。それを閲覧するタイミングもさまざまで、そこに対して効果的な広告を配信するのは難しい。マルチデバイスで展開できる同社のテクノロジーは、その課題を解決できる「唯一のテクノロジーだ」(井料ヴァイスプレジデント)とアピールする。同社の案件は、広告代理店経由が多い。競合他社に比べ運用開始までが短い。「日本市場は、デジタル広告市場が急成長している。短い期間で売り上げの拡大を狙う」(同)と意気込んでいる。(谷畑良胤)