工事現場など広範囲に拡販

 半導体・デバイスなどのIT製品を販売する菱洋エレクトロ(大内孝好社長)は、シャープ(戴正呉社長)と共同で開発した無線LANアクセスポイント「QX-C300」の拡販を進めている。

 同製品は、アクセスポイント同士を無線で連携する独自の方式を採用。アクセスポイントの増設に際して有線LANが不要なため、屋内だけでなく、インフラ未整備エリアで広範囲な通信が必要な工事現場や商業施設に採用が広がっている。2020年の東京五輪に向け需要が拡大すると予測し、パートナーと連携した販売を本格化している。

 同製品は、取引関係にあるシャープに企画を持ち込み、きょう体などをシャープで組立・製造した。企画・構想から2年が経った16年6月に、シャープブランドで販売を開始。「無線バックホール」と呼ぶ方式を採用していることが特徴だ。この方式は、アクセスポイント間の接続を無線電波で中継する。シスコシステムズやアルーバなど競合メーカー製品と異なり、有線LANの配線工事が不要だ。
 

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IoT営業本部営業第3部
営業第1グループ
菅谷博子
主幹

 IoT営業本部営業第3部営業第1グループの菅谷博子主幹は、「場所を特定せずフレシキブルに設置できる。安定した高速接続が手軽に整備できる」と、学校や病院、商業施設など屋内に限らず、工事現場やキャンプ場など、屋外でも柔軟にネットワーク環境を構築できると、屋内外を問わず多用途での導入をねらっている。

 例えば、従来のトンネル工事現場では、数キロメートルにおよぶ現場まで、機器間を有線LANでつなげる必要があった。しかし、同製品であれば、LAN配線工事が不要で、機器間の多段ホップでもスループットが少ない。また、無線電波で機器間を中継する際には、電波減少が少なく最適な接続状態を保つ。菅谷主幹は、「電波状況がもっともよいチャンネルを設定できるほか、無線の異常や変化に対応してアクセスポイントを切り替えてネット切断を回避する」と、競合機器との差異化を語る。

 利用用途としてはこのほか、監視カメラやデジタルサイネージなどの無線機能を搭載する機器や、温度・湿度・人感など、各種センサ情報を収集する目的など、IoT関連の利用としても提案している。

 無線LANの販売では、東京五輪に向けたインバウンド対策や、総務省の防災対策用の整備補助金など、追い風が吹いている。このため、同社では、現在の販売チャネルだけでなく、特定業種に強みをもつパートナーの開拓を本格化している。

 現在までに、テーマパークやカメラソリューションなどに150台程度を販売した。今後は「年間数千台を販売できるまで、販売体制を強化する」(菅谷主幹)と話す。(谷畑良胤)