グーグルは6月14日・15日の2日間、東京・港区のザ・プリンスタワー東京で「Google Cloud Next'17 in Tokyo」を開催した。「Gmail」や「ハングアウト」といったビジネス向けのアプリケーション群「G Suite(旧Google Apps for Business)」やクラウドプラットフォーム「Google Cloud Platform(GCP)」を紹介する同イベントは、パートナー企業や開発者などの参加者が1万3000人を超える盛況ぶりだった。(取材・文/前田幸慧)

GCP拡販の勢いを示す

 イベント初日の基調講演では、ダイアン・グリーン・Google Cloud統括バイスプレジデントや、阿部伸一・Google Cloud日本代表をはじめとするグーグルのクラウドビジネスに携わる重役らが登壇し、GCPの最新情報を紹介した。
 
201707071108_1.jpg

ダイアン・グリーン
Google Cloud
統括バイスプレジデント

 日本国内において、グーグルが提供するクラウドサービスといえば、「Gmail」「ハングアウト」「Google Drive」といったビジネスアプリケーションで構成されるG Suiteのイメージが強いだろう。同社が提供するクラウドプラットフォームのGCPはG Suiteと比べると影が薄く、IaaS/PaaS市場で先行する「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」にも大きく遅れをとっている。世に名高いIT企業の「グーグル」にしては、認知度の低いサービスであったことは否めない。今回のイベントでは、追いかける立場のGCPが攻勢に出るための戦略や取り組みが発表された。

 理由の一つは、昨年11月の東京リージョン開設による新規ユーザー利用率の増加だ。ダイアン・グリーンバイスプレジデントによると、東京リージョンの運用開始後、「GCP新規ユーザーによるIaaSの『Google Compute Engine(GCE)』利用が全体の約4割を占める」といい、Google Cloud全体の有償ユーザー数も、「昨年比で70%増加した」と語っている。
 
201707071108_2.jpg

阿部伸一
Google Cloud 日本代表

 パートナー企業との協業も拡大させている。阿部Google Cloud日本代表によると、「これまで主にG Suiteを扱っていたパートナーが、GCPにも取り組み、Google Cloud全体を扱うケースが増えてきている」と話す。その一例がソフトバンクだ。同社は今年6月にGCPパートナーとしての認定を取得した。また、新たにKDDIも、8月末よりGCPの提供を開始することを発表している。

NTT Comと協業し補完

201707071108_3.jpg

NTTコミュニケーションズ
森林正彰
取締役クラウドサービス部長

 さらに、クラウドベンダーであるNTTコミュニケーションズ(NTT Com)との協業も発表。初日の基調講演の終盤では、阿部Google Cloud日本代表と、NTT Comの森林正彰・取締役クラウドサービス部長が揃って登壇した。協業の詳細については明らかにしていないものの、森林取締役は、「当社のクラウドサービス『Enterprise Cloud』でカバーできないところはGCPと接続してソリューションを提供する」などの考えがあることを示した。また、阿部Google Cloud日本代表は、「(GCPに)法人のお客様に関心はもってもらえるものの、ネットワークをどうするのか、インテグレーションをどうするのか、多くの企業で既存資産をどう生かすかが課題だった」といい、今回の協業で「うまく一緒にサポートしていけるのではないか」と期待を込めた。

働き方改革でクラウドを訴求

 今回のイベントを通して、グーグルのクラウドビジネスのキーメッセージとして打ち出されていたのが「働き方改革」だ。
 
201707071108_4.jpg

ファミリーマート
澤田貴司社長

 初日の基調講演では、「ハングアウト」や来年提供予定の新製品「Jamboard」などを利用した働き方のデモンストレーションや、機械学習の技術を活用して生産性向上を目指す取り組みなどがみられた。

 また、Google Cloudを活用して働き方を実現する新たなパートナー企業として紹介したのがファミリーマートだ。講演では同社の澤田貴司社長が壇上に立ち、G Suiteの活用による業務の時間短縮・効率化を実現した働き方改革の実践を説明。また、データ分析基盤としてGCPを導入し、「店舗における発注業務の効率化など、サービスの最適化を図っていく」と期待を込めて語った。

クラウドエース、吉積礼敏代表取締役
GCPシェア拡大への確信を示す

 9年前、日本でいち早くグーグルの法人向けビジネスに携わり、今ではGCPのパートナーとして3年連続でアワードを受賞するなど、GCP専業のクラウドインテグレータとして地位を確立しているクラウドエース。同社は昨年11月、GCPデータセンターの東京リージョン開設に伴う需要拡大などを見越して、吉積情報からクラウドサービス事業である「Cloud Ace」を分社化して設立された企業だ。同社の代表取締役には、これまで吉積情報で代表を務め、国内グーグルの法人向けクラウドビジネスの第一人者である吉積礼敏氏が就任している。
 
201707071108_5.jpg
 吉積代表取締役によると、GCPは日本でのリリース当初、「最初の2年ほどはなかなか売れなかった」という。しかし、東京リージョンが稼働し、「昨年後半頃から認知が広まり、最近では知らない人はいなくなってきた」との感触があるようだ。ゆくゆく、「AWSを追い抜くというのは本当にあると思う」と力を込める。

 GCPの利用拡大を目指し、同社が昨年12月に立ち上げた「クラウドエースパートナーズ」には、現在、ソリューションパートナーとセールスパートナーを合わせて約30社が参画している。パートナー同士が連携して、Google Cloudのソリューションを提供していく方針だ。