週刊BCNは7月28日、福岡市のレソラNTT夢天神ホールで、SIer、ISV、ディストリビュータ、リセラー向けのイベント「BCN Conference 2017 in FUKUOKA『デジタル革命最前線 ~デジタルの実ビジネスをつかむ一日~』」を開催した。識者によるデジタルトランスフォーメーションのトレンド解説のほか、デジタルトランスフォーメーションを支える最新の製品・サービスについて、各メーカー、取り扱い販社などが各セッションで解説した。

 冒頭、サイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授が、「デジタルトランスフォーメーションの現在と未来―デジタルは、わたしたちのビジネスをどう変えるのか―」と題して基調講演を行った。勝教授はまず、デジタルトランスフォーメーションの基本的な構造について、「私たちの身の回りの現象から多くのデータを引き出し、そこから意味のある情報を抽出し、それを知識、知恵に育てていくというのは人間がずっとやってきた営みだが、デジタルの世界では、IoTで現象がデータ化される量が爆発的に増え、情報がナレッジに変わっていくプロセスも、AIやロボティクスによって加速している」と指摘。そのうえで、ITベンダーは顧客に対して、「デジタルトランスフォーメーションがもたらすチャンスとリスクを踏まえ、最終的にどんな価値を提供するのかというソリューションの本質を追求していくべき」との見解を示した。さらに、デジタルトランスフォーメーションの先進事例として、テスラの電気自動車や自動運転技術開発、米アマゾンのスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo」のほか、国内での製造業、サービス業での取り組み事例なども紹介した。
 
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サイバー大学IT総合学部の勝眞一郎教授

 続くセッション1では、日本HPの九嶋俊一・執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長兼サービス・ソリューション事業本部長が登壇。テーマは、「企業の生産性を高めるOffice of The Future~資産の遊休リソースを使いきる“現実的IoT”でスマートオフィス化を目指す試み~」。九嶋執行役員は、「IT化が進んでいくことでコンピュータはどんどんみえなくなっていくが、大事なことはセンサが広がっていくこと。これにより空間の状態を見極め、適切なサービスを提供していくのが、スマートxxの本質」としたうえで、「オフィス内のさまざまな電子機器は、実はセンサだらけで、すべての電子機材にセンサが入っている。そこから取得したデータを、スマートフォンをハブに活用することもできる。HPとしても、そうした考え方のもと、スマートオフィスソリューションを展開し始めた」と説明。具体例として、PCやプリンタなどをオフィスで運用する際の識別IDやセンサとしてスマートフォンを活用するソリューションを紹介した。そのほか、スマートオフィスに貢献する製品として、ビデオ会議を効率化する専用設計ハードウェアなども披露した。
 
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日本HPの九嶋俊一・執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長兼サービス・ソリューション事業本部長

 セッション2では、arcserve Japanの末吉聡子・チャネルマーケティング部長が登壇し、「クラウド時代の災害対策とバックアップ運用の最前線」をテーマに講演した。同社のフラッグシップ製品である「Arcserve Unified Data Protection(UDP)」の特徴を解説。さまざまな環境を一元的に管理する統合コンソールでバックアップの運用を効率化できたり、継続的な増分バックアップ機能による時間と容量の効率化、効率的な重複排除、エンドユーザーでもドラッグ&ドロップで簡単にリストアできる操作性などをアピールした。さらに、DR向けの仮想スタンバイをAWS EC2上で利用できるようになったことや、Office 365のメールデータ保護の実装など、クラウド対応の最新機能も紹介した。
 
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arcserve Japanの末吉聡子・チャネルマーケティング部長

 セッション3では、サイバーソリューションズの秋田健太郎社長が、「ランサムウェア、標的型攻撃を根本的に阻止!~話題の最新メールセキュリティで企業の強靭性向上をご提案~」と題して講演した。同社は、「企業にとって必要なメールシステムを一気通貫でワンストップで提供できる」という。秋田社長は、メールセキュリティの最新トレンドとして、「標的型攻撃やマルウェアはその8~9割がメールを経由するが、実行犯も新種もどんどん増えていて、対策の高度化が必須の状況」だと指摘。オンプレミス、クラウドの両方で提供している同社のメール無害化ソリューション「CyberMail-ST」、さらにはソフォスのデータベースにリアルタイムで問い合わせ、個別のファイルの悪意の有無を確認できるアンチウイルス機能「Cloud Live Protection」(CyberMailシリーズユーザーは無償オプションとして活用可能)など、市場のニーズに応える幅広いソリューションをラインアップしていることを強調した。
 
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サイバーソリューションズの秋田健太郎社長

 セッション4に登壇したのは、ティントリジャパンの鹿嶋慎吾・西日本支店支店長だ。テーマは、「業界唯一の仮想化専用ストレージで、お客様の課題を簡単に解決」。鹿嶋支店長は、「ラッキングしたら、管理用IPを設定してマウントするハイパーバーザーの情報を入力するだけで構築は終了する。VM単位で運用管理を自動化し、運用管理工数の削減やインフラの可視化も実現する。あらゆる仮想化環境を快適に動かすことができ、その状態がずっと続くのが大きな特徴だ」と説明した。リセラーにとっては客席への提案プロセスもシンプルで手離れがよく、ビジネスチャンスが大きい商材であることもアピールした。
 
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ティントリジャパンの鹿嶋慎吾・西日本支店支店長

 セッション5では、ネットワールドの福住遊・ストラテジック・プロダクツ営業部係長が、「ストレージからみるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の最新動向」と題して講演した。近年、HCIは仮想化基盤として急速に普及が進み、サーバーベンダー各社が注力している。これに対して、その影響を受けているストレージ専業ベンダーがどのように生き残りを図ろうとしているのかを、多くのストレージ、HCIを扱ってきた有力ディストリビュータとしての視点で解説した。福住係長は、「HCIにも向き不向きがあるので専用ストレージはなくならない。それどころか、各社はまだまだ絶好調といっていい。ただし、トレンドを踏まえ、ストレージ専業ベンダーもHCIへの取り組みを強化している。具体的なアプローチは各社各様だが、HCIを支えるSDSでどんな特色を出せるかが今後の市場の行方に強く影響するだろう」と結論づけた。
 
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ネットワールドの福住遊・ストラテジック・プロダクツ営業部係長

 プログラムの締めくくりとしては、週刊BCNの谷畑良胤・編集委員が、「これだけは知って!DX時代に必須のテクノロジー~顧客提案で響くビジネスモデルとは?~」と題して主催者講演を行った。AI、IoT、FinTechなど、デジタルトランスフォーメーションの象徴ともいえる新しいトレンドの先進事例を紹介した。
 
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週刊BCNの谷畑良胤・編集委員
 
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ふくおかクラウドアライアンスの柴田健二・ビジネス開発副委員長(麻生教育サービス取締役部長)

 また、主催者講演中では、特別ゲストとして、福岡県情報サービス産業協会(FISA)の企画事業である「ふくおかクラウドアライアンス」の柴田健二・ビジネス開発副委員長(麻生教育サービス取締役部長)も登壇。福岡IT市場におけるデジタルビジネスの市場立ち上げにも貢献している同アライアンスの活動について説明。「セミナーの開催などを中心に6年間活動してきて、累計2700人が受講している」として、IoT、AIなどの新しいデジタルテクノロジーがエンタープライズIT市場に与える影響などを啓発してきた実績を紹介した。