週刊BCNは11月22日、「“半歩先”がみえるITトレンドセミナー~新たな事業展開のヒントがココに」と題し、SIer、リセラー向けのセミナーを広島市内で開いた。デジタルトランスフォーメーション(DX)に代表される市場のトレンドをマクロな視点で解説する識者の講演や、DXにより大きな成長が期待できる商材をもち、全国で販路拡大を目指すITベンダーの製品戦略、パートナー戦略などに、参加者は熱心に耳を傾けた。

 基調講演には、IT産業ジャーナリストで、一般社団法ITビジネス研究会の代表理事を務める田中克己氏が登壇。「変わるIT産業、変わらぬIT企業」をテーマに、日本のエンタープライズIT市場の課題を大胆に指摘した。田中氏は、国産大手総合ITベンダーに対して、「10年前と比べると売上規模もシェアも落とし、目先のSIビジネスをやるので精一杯。彼らがデジタル変革をリードするのは難しい状況」と批判。「米国はもとより、中国でも新興企業がデジタルビジネスで成長しており、日本のIT産業界を脅かす可能性もある。AIやIoTによる産業革命はすでに起きていて、ただでさえ稼ぐ力が弱くなった日本は、少子高齢化などの社会的な課題を抱え、生産性の向上は待ったなしの課題。ユーザーや新興ベンダー、あるいは中小のIT企業にこそデジタルイノベーションをリードするチャンスがある」と話した。
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IT産業ジャーナリスト、一般社団法ITビジネス研究会代表理事の田中克己氏

 各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。

 セッション1では、アーク・システムマネジメントの日吉孝浩・営業本部代表取締役が、「NAS型データ共有とデータ保全アプラアンス及びHCI構成統合ソリューションのご紹介」と題して講演した。日吉代表取締役は、同社の主力製品ブランドであるNAS型データ共有/データ保護アプライアンス「Storend」について、「データ共有とバックアップまでを網羅しつつ、専門知識のある担当者がいなくても簡単、スピーディに導入・運用ができる安価なソリューションがほしいというマーケットのニーズに応えて開発したオールインワンのNAS」と説明。さらに、「従来、Storendを担いでくれていたSIerなどから、もう少し機能を追加した製品がほしいという声もあり、ミッドレンジクラスのNASはマーケットをみてもそれほど多くなく、適正なコストで使える製品の選択肢が不足しているため、STOREND2を開発し、市場投入することにした」と説明。さらに、スケールアウトのニーズ向けには、ハイパーコンバージドインフラの「ASM-HCI」も用意していることを説明。「われわれはインフラ側の製品をもっているが、お客様が本当に使いたいのはアプリケーション。そうしたフロント側の商材を扱っていらっしゃるSIerや販社と協業し、販路を広げていきたい」と会場に呼びかけた。
 
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アーク・システムマネジメント営業本部代表取締役の日吉孝浩氏

 セッション2では、ヴィーム・ソフトウェアの四本史彦・ディストリビューション・マネージャーが登壇。「仮想化時代に求められる先進のデータ保護対策とは?~今世界中で注目されるアベイラビリティによるデータ保護とは?~」をテーマに、同社製品の特徴を解説した。四本氏は、同社の製品開発コンセプトについて、「デジタル時代のあらゆるビジネスに貢献すべく、バックアップソフト、レプリケーションソフトを含むアベイラビリティ・プラットフォームを提供している」と説明した。さらに、「ビジネスを無停止で継続することや、デジタルトランスフォーメーションのアジリティ、アナリティクス、可視化といった要請に、従来技術では対応できなくなっている。だから仮想専用を謳ったバックアップソフトが必要になってくる」として、そうしたニーズに適合する製品として、同社の主力製品である「Veeam Availability Suite」を紹介。「主要メーカーのストレージやHCIとの連携機能も充実していることを強調した。
 
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ヴィーム・ソフトウェアの四本史彦・ディストリビューション・マネージャー

 セッション3では、インフォテリアの垂見智真・ASTERIA事業本部マーケティング部部長が、「データの利活用を促進するビジネスプラットフォーム 国内シェアでNo.1のデータ連携ツール『ASTERIA WARP』と活用事例のご紹介」と題して講演した。同社の主力製品であるデータ連携ツールのASTERIA WARPシリーズのなかでも、従来製品よりもスモールスタートに適した、月額3万円からのサブスクリプション型で利用が可能な「ASTERIA WARP Core」について解説した。垂見部長は、「ASTERIA WARP Coreは、ASTERIAシリーズのエッセンスを凝縮し、簡単操作、短時間でデータ連携を実現できる。もともとASTERIAは自動化にフォーカスしており、流行しているRPAと組み合わせることで業務の自動化は大きく加速する」とコメント。ASTERIA WARP Coreの用途として、Excelの自動処理や、ウェブ上にあるデータの取り込み、ETL、クラウドサービスとの連携、データ移行などに有効だと説明し、有力なDBソフトやクラウドサービスとの連携アダプタも豊富に取り揃えていることを強調した。
 
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インフォテリアASTERIA事業本部マーケティング部の垂見智真部長

 セッション4では、キヤノンITソリューションズの冨田倫世・基盤・セキュリティソリューション企画センター課長が、「2017年12月までに実施できるセキュリティ対策、教えます~2017年上半期のセキュリティ動向から考える、『UTM活用術』~」をテーマにプレゼンした。富田課長は、新種の情報搾取型マルウェアやランサムウェアが猛威を振るっていることを指摘。「マルウェア全体の傾向として、上位はメールによる感染が多く、ランサムウェアなど金銭被害に直結するものが多くを占める。アンダーグラウンドマーケットの活性化が背景にあり、ランサムウェアをばらまくためのサービスまで存在する」と現状を説明。そのうえで、「サイバー攻撃は複数の段階を経て実施されるため、こうした攻撃を防ぐ手段としては、複数のセキュリティ機能を組み合わせた多層防御が有効」だと解説した。この多層防御を一台でカバーできる次世代ファイアウォール/UTMとして、同社製品の「Clavister」を紹介。「完全自社開発で、汎用的なOSやOSSのぜい弱性の影響を受けず、安定性・信頼性が高い設計となっている」とメリットをアピールした。
 
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キヤノンITソリューションズの冨田倫世・基盤・セキュリティソリューション企画センター課長

 セミナーと締めくくりとなった主催者講演では、週刊BCN記者の本多和幸が、FinTechの最新事情を取材情報をもとに解説した。