PC・タブレット周辺機器メーカーのサンワサプライの山田哲也社長は4月下旬にBCNの取材に応じ、来年の2019年5月1日に社長交代して会長に就任すると語った。新社長には長男の山田和範専務が就任する予定。サンワサプライは1923年に、山田義夫氏が足袋の縫製工場・山田商工として個人創業したのが始まりで、95年の歴史をもつ企業だ。社長交代を決断した理由について聞いた。

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アイデアが豊富なサンワサプライの製品

 ごろ寝しながらタブレットを操作できるスタンドや、運転中の視界を遮らない車載用スマホホルダーなど、サンワサプライの製品はアイデアが豊富。なかでもガス圧式上下昇降デスクは、昨今の「働き方改革」にマッチした製品として注目アイテムだ。そんな製品が約8000アイテムもある。

 次々とユニークな製品を出し続ける山田社長は、社長交代のタイミングについて「日本の年号も変わるし、覚えやすいと思って。決算期が6月期なので5月のタイミングがよかった」と笑顔で軽くかわす。しかし、1年前から予告するだけあって、スケジュールは以前から決めていたようだ。
 
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視界を遮らないスマートフォンホルダー

 山田社長は3代目。祖父である創業者が足袋の縫製工場をした後、2代目となる父親は梱包材のダンボール工場を経営した。1979年にサンワサプライに社名変更し、PCやPC周辺機器の販売を開始。NECの「PC-8801」シリーズが売れたのをきっかけに、顧客から「ケーブルがほしい」「置き台がほしい」といわれ、時代ごとに変わるニーズに応える形で成長してきた。95年12月に社長に就任し、現在の社員数297人、売上高279億円の規模の会社まで育てた。

 「PCが登場してから約30年。PCからタブレット、タブレットからスマホに移るなか、今後はアマゾンのAIによる音声認識技術Alexaに代表されるようなスマートスピーカーに変わっていくだろう。新しい流れのなかでバトンタッチした」と、従来のデジタル家電の枠を超えた大きな流れのなかで世代交代に至ったようだ。

IBMのWatsonを導入

 次世代に向けた布石も打っている。サンワサプライは2年前から社内にIBMのAIソリューションであるWatsonを導入しはじめた。まだWatsonの中小企業への導入が少なかった2年前、タイミングよく引き受けてもらうことができた。今は約8000アイテムの膨大なデータを機械学習させることで、将来のための基礎づくりをしている最中だという。  「意外に手間がかかり、辛抱強さも求められるが、AIは資金投資をすればすぐに結果が得られるというものではない。いかに、自分流のAIに育てていくかが肝心だ。ちょうど、自動運転の技術がレベル5まで上がっていく過程にも似ている」と山田社長は語る。  2、3年もすれば、販売会社に適正なタイミングで製品を発送したり、仕入れでの適正な発注、商品企画では8000アイテムの最適なモデルチェンジなどができるようになるとみる。Watson経由で社外のデータも取り込めば、さらに情報の精度は上がっていくという。さて、来年、会長になった山田氏は何をするのだろうか。それについては次回紹介しよう。(BCN・細田 立圭志)