キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、学校業務の効率化に取り組んでいる。文教向け商材の教育支援システム「in Campus(インキャンパス)」に、手書きOCR機能「in Campus Scan(インキャンパススキャン)」をこの6月から実装。これまで教員が手入力していた試験の採点結果を自動化することで、業務の効率化を促進する。同社では、学校現場の働き方改革の機運の高まりを受けて、初等・中等学校の市場に向けても「in Campus」シリーズの拡販につなげていく。

左からキヤノンMJの沼保一平氏、小泉明弘課長代理、
キヤノンITソリューションズの八尾唯仁氏

 「in Campus Scan」は、教員が手書きで採点した答案用紙の「学籍番号」と「採点」をOCRで読み取り、「in Campus」の学習管理システム(LMS)に入力するというもの。手書きOCR実装は、従来から検討されてきたが、精度が十分に高まらない課題があった。そこで、今回は「学籍番号」と「採点」の“英数”だけに特化することで、「コストを抑えつつ認識精度を97%程度まで高める」(キヤノンMJの小泉明弘・文教第一営業部文教営業第二課課長代理)ことに成功した。ディープラーニング(深層学習)技術を駆使して、手書きOCRの認識精度を一段と高める技術開発も行っているものの、大がかりな仕組みになってしまい、現時点では「コスト面で釣り合わない」(同)可能性がある。

 このため、残りの不正確な部分は、読み取った数字の原本画像と、デジタル化した部分を教員が突き合わせることで100%にもっていく(画像参照)。従来のように「すべて手入力で作業するより、はるかに作業負荷が軽減される」と、開発を担当したキヤノンITソリューションズのR&D本部先進技術開発部の八尾唯仁氏。コストパフォーマンスのよいシステムに仕上げたことから、大学向けの「in Campus」シリーズを向こう3年で、累計6大学の納入実績を20大学へと拡大する計画だ。
 
「in Campus Scan」の操作画面。
読み取った数字の原本画像と、デジタル化した部分を教員が突き合わせることで100%にもっていく

 今回の手書きOCRでコストにこだわったのは、大学に比べてIT予算に限りがある小中高等学校への横展開を視野に入れていることが背景にあげられる。昨年8月、文部科学省初等中等教育分科会の「学校における働き方改革特別部会」が、「学校における働き方改革に係る緊急提言」を行ったのをきっかけに、「小中高の学校現場での業務効率化の機運が高まっている」(キヤノンMJの文教営業本部マーケティング推進課の沼保一平氏)と分析する。

 これを受けて、初等・中等学校向けの「in Campus Scan」は、カスタマイズをしないSaaS方式にするなどして、年額利用料を大学向けに比べて半分に抑制。小中高等学校市場への参入準備を進めていく方針だ。(安藤章司)