DJI JAPAN(呉韜代表取締役)は、今年3月に発表したドローン用赤外線カメラ「Zenmuse XT2」について、製品や活用事例を紹介する説明会を開いた。

 Zenmuse XT2は、フリアーシステムズとDJIが共同開発した赤外線カメラ。放射測定サーマルセンサと4Kビジュアルセンサを搭載し、赤外線データと映像データの両方を確認することができる。また、「インテリジェント機能」として、対象物の温度が事前に設定した閾値を超えた際にオペレータに通知する「高温アラーム」、指定した対象物を自動追尾する「クイックトラック」、画面上の高温な対象物を自動追尾する「ヒートトラック」、ビジュアルデータと赤外線データを組み合わせて分析することができる「FLIR MSX」、赤外線データと視覚画像データを最適に表示させる「ピクチャー・イン・ピクチャー」などを備えている。DJI JAPANの李秀英・エンタープライズセールスマネージャーは「クイックトラックとヒートトラックの2つのインテリジェント機能によりカメラが被写体を自動で追尾するので、オペレータは飛行操作とデータ収集に専念することができる」と話す。

 Zenmuse XT2は、DJIの産業用ドローン「MATRICE 200シリーズ」と「MATRICE 600 PRO」に対応。専用アプリとして、Android向けの「DJI PILOT」とiOS向けの「DJI XT PRO」を用意している。

 説明会では、実際の現場でZenmuse XT2を検証した事例を紹介するパネルディスカッションを実施。スギテックの谷野心樹・工務部技術第1グループリーダー、セキドの高木圭太・インダストリアル事業開発グループディレクター、DJI JAPANの李マネージャーの3人が登壇した。

 スギテックは、建物診断や改修工事などを手がける企業。今回の検証では、赤外線で建物外壁の温度の変化を調べることによる外壁の劣化診断にZenmuse XT2を活用した。

 谷野リーダーは、「壁面劣化診断の一般的な手法である壁面の浮いている箇所を叩いて音の違いを調べる打診調査では、足場の設置などが必要。また、地上据え置き型の赤外線カメラを用いた調査では、(高層部など)カメラから距離が離れるほど解像度の基準を満たせないこともある」と話す。そこで、「空中で撮影すれば距離の問題は解消できるのではないか」と模索を始め、セキドとともにドローンを使った調査を進めていたという。

 ドローンの技術支援や教育などを手がけるセキドはかねてより、スギテックのドローン運用を支援してきたが、今回の検証で用いたZenmuse XT2に関しては、「FLIR MSXが壁面調査で役に立つ」と、高木ディレクターはみていたという。「FLIR MSXを使うことで、壁面の目地まで見えるようになり、それを頼りにドローンを飛ばせることは、より正確に異常箇所を特定できることにもつながる」と話す。加えて、「ドローンを飛行させるわれわれからすると、いかに安全にドローンを飛ばせるかが第一。(ピクチャー・イン・ピクチャー機能によって)可視光線を確認しながら同じ画面でサーマル映像を捉えて飛行できるのは非常に有効だ」と語った。(前田幸慧)
 
産業用ドローン「MATRICE 210 RTK」と、
搭載している赤外線カメラ「ZENMUSE XT2」