KDDI(高橋誠社長)と日立製作所(東原敏昭社長)は6月7日、グローバルIoT事業の推進で協業を発表した。また、KDDIは、世界中のIoT通信接続からサービス展開、データ分析までを提供する「IoT世界基盤」を発表。今回の協業は、この通信プラットフォームと日立の提供するIoTプラットフォーム「Lumada」の連携である。

 KDDIが提供するIoT世界基盤は、2016年にトヨタ自動車(豊田章男社長)と共同で構築されたグローバル通信プラットフォームを、他分野にも展開したもの。機器に内蔵されたSIM情報を遠隔通信で書き換え、その時々で最適な現地キャリアに直接接続できるようにすることにより、通信キャリアごとに異なるIoT環境を意識することなく統合的な管理を実現する。

 KDDIの森敬一・取締役執行役員常務は、「従来のローミング接続と比べ、コストダウンの実現や回線管理・運用を簡略化できる。コストにおいては国によって差はあるものの、約半額近くまで落とすことも可能だ」と差異化のポイントを説明する。IoT世界基盤は、50か国以上の海外キャリアとの連携を目標にしており、実現すれば日本企業の海外現地法人の約9割をカバーすることになる。IoT市場の広がりに合わせ、海外におけるIoT導入・回線管理の問題を解決する。

 また、IoT世界基盤は、IoT分野で実績のある日立製作所のLumadaとも連携する。Lumadaは課題発見からデジタルソリューションの実装までを顧客とともに協創するIoTプラットフォームである。日立製作所の永野勝也・執行役常務社会ビジネスユニットCEOは、「IoT世界基盤と連携することで、これまで課題となっていた海外でのIoT導入、運用のハードルを下げることができる」と連携の意義を説明した。

 IoT世界基盤とLumadaの連携については、米食品会社で利用されている日立産機システム(荒谷豊社長)の産業用インクジェットプリンタでの試験導入を18年7月から開始し、実証を進める。これまで日立産機システムでは、産業用インクジェットプリンタにおける印字品質の管理や製品の安定稼働を支援するため、Lumadaの活用などによる遠隔モニタリングの導入を図っていた。しかし、グローバルで安定的に導入するには、通信環境面で問題があった。IoT世界基盤を活用することで、セキュアで高品質な通信環境のもと、データの大容量化にも対応できるようになるため、遠隔モニタリングのグローバル展開も見込んでいる。

 IoT世界基盤では国だけでなく通信方式も選ばない。現行の通信方式をほぼカバーし、今後各国で適用されていく各種LPWAにも対応していく予定だ。また、Lumadaにおいてもソフトウェア、アプリケーションに限定されず顧客に合わせた提供ができる。(銭 君毅)
 
KDDIの森敬一・取締役執行役員常務(写真左)と
日立製作所の永野勝也・執行役常務社会ビジネスユニットCEO