一つの企業でできることには限りがある。企業同士が時に争い、時に共闘することで新たな価値は生まれる。多くの企業はそんなパートナーを求めているはずだ。コンピュータソフトウェア協会(CSAJ、荻原紀男会長)は6月19日、各種提携やソリューションを模索する場として、128回目のアライアンスビジネス交流会を開催した。当日は計4社の企業が自社サービス、商品の見どころを参加者に向けてアピールした。(取材・文/銭 君毅)

低遅延通信を実現する組込型動画配信SDK
アイスタディ

小山田佳裕
社長
 トップバッターはアイスタディ。社長の小山田佳裕氏が登壇し、配信基盤つきの組込型ビデオ通話・ライブ配信SDK「Agora.io」について発表した。

 同SDKは米Agora Lab社が開発し、日本における販売をアイスタディが担っている。ラグ2秒以下という低遅延な双方向通信を映像で17人、音声のみであれば1万人という人数で行うことができる。PaaSでの提供のため、配信インフラの設計や監視・メンテナンスの必要がないという。また、開発方法のコンサルティング、さまざまなサンプルコードやデモアプリの提供など、開発に関わるサポートを受けることが可能。これにより、「ユーザーは安心して開発から運用までを行うことができる」という。

 プレゼンテーションでは、ソーシャルゲームアプリを使った配信の再現動画とパケットロス発生時の画面を各サービスと比較したデモンストレーションを披露。パケットロスの比率が上がり、各サービスの画面が止まっていくなかで、Agora.ioの画面は滑らかに動き続けていた。

 同社は技術・販売提携を模索している。小山田氏は「近年、オンデマンドサービスやライブ配信などコンテンツのビデオ化が進んできている。今、ビデオ配信基盤が重要になっている」とビデオ配信基盤の必要性を強調した。
 

高性能住宅の設計・提案を支援 3DCAD
シーピーユー

高森英充氏
 次に、壇上に立ったのはシーピーユー企画課の高森英充氏。建築、土木向けソフトウェアを提供しており、今回は建築3次元CADシステム「A's(エース)」を紹介した。現在、耐震性・断熱性・耐久性を備えた家が「売れる家」であり、高性能住宅のニーズが高まっていることを受け、「これからのCADは図面をかけるだけではだめ。高性能な住宅の設計・提案をサポートできるCADが求められる」と、高森氏は語った。

 では、A'sはいかにしてサポートするのか。まずは、プレゼンテーション機能の充実である。これまで、高性能住宅はその仕様の複雑さから、建築主との契約後に住宅性能評価が行われることが多かったが、プラン図の入力と同時に生成される3Dパースにより、住宅の性能を契約前に提案できる。パースには数万点のメーカー商品のデータを反映でき、建築主はゲームコントローラ、タッチパネル、VRを使って3Dパースを体験できる。建築主は住宅性能に納得したうえで契約できるようになるのだ。また、設計においても図面の自動生成、整合性保持、入力不備チェックといった機能により正確な図面を短期間で設計できる。

 今回、シーピーユーは販売提携を目的に交流会に参加。サポート会員を増やすことで自社と販売店の定期収入の拡大を狙っている。
 

業界最高精度の顔認証AI
リアルネットワークス

高村徳明
副社長
 続く3社目の企業は、リアルネットワークスだ。同社副社長である高村徳明氏が、マシンラーニングを用いた顔認証AIソフトウェア「RealCV」を紹介した。セキュリティや分析といった分野で注目されているのが顔認証で、以前より、自社のムービー自動生成アプリの人物分類機能として同ソフトを利用していたため、「業界最高レベルの精度を誇る」と高村氏は強調。その顔認識率は、公表しているもので99.52%(最新の社内試験では99.84%)だ。

 主な機能としては顔検知や顔認識、性別・年齢推定に加え、感情推定ができる。人数や姿勢、マスク、化粧といった要素に対応しており、アイスホッケーのマスクをかぶっていても認識できるという。また、他社との違いとしてストリーミングに標準対応していること、APIコールではなくカメラ台数による課金モデルであることをあげた。

 今回、同社の参加目的は販売・技術提携である。RealCVは関連ソフトウェアと合わせてパッケージとして提供し、クラウド、オンプレミスともに対応できる。とはいえ、ルーターやサーバー、カメラといった機器がないと利用することはできない。高村氏は「機器のソフトウェアAPIの開発や、ハードウェアを提供していただけるパートナーを探している」と語った。
 

世界と勝負できるセキュリティ人材を育成
アライドテレシスアカデミー

小林忍
社長
 最後に登場したのはアライドテレシスアカデミーだ。社長の小林忍氏は現在提供しているサイバーセキュリティ研修事業の概要と、「CSXプラットフォーム学習環境」を紹介した。

 同社の研修は、新人向けのレベル1からCSIRT(インシデントに対応する専門チーム)メンバー向けのレベル5まで、受講者のスキルレベルに対応したメニューを提供している。これらを段階的に受講することにより、新人からCSIRTメンバーになるまでをサポートする。

 CSXは同社が提携している各種セキュリティの専門家国際団体「ISACA」が提供するトレーニング環境であり、五つの階層のうちのレベル4にあたる内容だ。常に更新されている学習内容により最新のセキュリティ技術を身に着けることができ、オンデマンドe-ラーニングのため自分のペースでいつでも学習できる。学習内容は230時間以上のコンテンツ量があり、ISACA公認の資格取得や、受講者が所属する組織・部署に合わせた学習など、ニーズに合わせて受講できるという。コンテンツの中身は英語表記だが、日本語の補助資料が付属している。1ライセンス59万円、1年間利用できる。

 小林氏は、今後見込まれるセキュリティ人材の不足に向けて「日本のIT業界で働く技術者のキャリアアップを支援し、世界と勝負できる人材をたくさん輩出したい」と語った。