日立製作所(東原敏昭社長兼CEO)は上下水道事業全般の経営課題解決に貢献するIoTソリューションとして、「O&M支援デジタルソリューション」の提供を開始した。上下水道事業を担う地方自治体や上下水道施設の維持管理業務を受託している民間企業などをユーザーとして、2021年度末までに15サイトへの納入を目指す。

 国内の上下水道事業は、浄水場や下水処理場など中核施設の老朽化に伴う維持管理・設備更新コストが増大している一方で、人口減に伴い利用料収入は減少しており、事業運営の効率化が喫緊の課題になっている。前回国会では継続審議になったが、水道事業の広域化や民間企業の参入促進により事業経営の効率化を図るべく水道法改正案も議論されている状況。同社担当者は「事業スキームを大きく変えざるを得なくなっている上下水道の課題解決に貢献する有効なツール」として、積極的に拡販していく意向を示している。
 
IWA展示会にも出展

 O&M支援デジタルソリューションは、同社のIoTプラットフォーム「Lumada」を活用し、IoTやAI、ARなどを駆使して上下水道事業の運営に関連する多様なデータを収集・分析する。具体的には、浄水場や下水処理場などの設備情報や運転情報、作業記録、故障・修理情報などをIoTデバイス/センサーを活用してクラウド上に収集。「AI、ARなどの先進デジタル技術を活用することで運用・保全業務の可視化・省力化・効率化やノウハウの継承を支援する」(同社)という。サービスの第一弾として、眼鏡型ウェアラブルデバイスやタブレット端末を使って業務マニュアルや故障・修理履歴の参照、作業のナビ、熟練者による遠隔指示を行うことができる「設備保全支援機能」、IoTセンサーからデータを収集して設備の稼働状況を可視化する「プラント監視機能」、設備の稼働年数や故障・修理履歴、点検結果などの情報を一元管理する「台帳機能」の三つの機能を10月にリリースする。

 O&M支援デジタルソリューションは、9月16日から21日まで都内で開かれた水インフラ関連の世界的なイベント「第11回IWA(国際水協会)世界会議・展示会」にも出展された。同社担当者は「広域化を検討されている上下水道事業者のほか、国外からの参加者にも、水インフラへのIoTソリューション適応を進める日立の取り組みに注目してもらっている」と手応えを感じている様子だ。(本多和幸)