創業以来、BIツール専業ベンダーとして独立した立ち位置を保ってきたマイクロストラテジー(印藤公洋社長)。長年研究開発に対して重点的に投資してきたが、近年はセールスやマーケティングへの投資を強化する方針を打ち出し、ユーザーやパートナーへのアプローチを強めている。

 同社は3月、主力プロダクトを最新版「MicroStrategy 2019」へとメジャーアップデート。ウェブアプリケーション上で該当項目にカーソルを合わせるだけで基幹システムなどに含まれる情報を表示する「HyperCard」などの機能を追加した。リリース以降、2カ月間で5社が導入済みで、滑り出しは好調だという。
 
印藤公洋
社長

 これまではサポート切れのタイミングなどで導入を検討するユーザーが多かったが、今回、ユーザーの反応が早かったのは「データ分析に対するニーズの拡大が進んでいるため」と印藤社長は分析する。この背景には「ここ数年、大企業や中小企業を問わず多くの企業で、データの活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)への号令がかかり、データ分析によるDXへのアプローチが進みつつある」とみている。

 特に動きが目立つのは大手製造や金融。IoTなどによるデータ量の増大や、複雑なビジネスプロセスの見直しが必要になってきていることがその要因だ。「例えば製造業では商品設計、工場の効率化、品質管理などでBIの需要が加速している。最近では国際的なサプライチェーンを取りまく環境の変化に伴い、業務プロセスの見直しを迫られるケースも出てきている」(印藤社長)。

 これらの状況を踏まえ、同社ではパートナーチャネルを増強することで、さらなる拡販を目指す。製造と金融という市場を見据えつつ、大手から中小まで広くパートナーを募集していく。「単なる販売チャネルではなく、協業を通じて市場を深耕していきたい」と印藤社長は語る。全国をカバーする大手SIerだけでなく一部の領域に強い企業とも組んでいくことで細かなニーズにも対応していく。

 同社の製品をしっかりと理解してもらうため、昨年パートナー向けのトレーニングを新設した。これまで提供してきた有料のユーザー向けトレーニングについても、パートナーに限って無償化。また、製品ライセンスについても条件付きで無償化しており、同社の製品をパートナーが快適に販売するための環境が整いつつある。

 印藤社長は「現在あるパートナーと組んで、我々のクラウド製品の機能を一部切り出して、彼らのSaaSとしてAWSやAzure上から提供している」という。同社の製品は1000人規模での利用を想定していたため小規模展開には向かなかったが、パートナーと協力することでスモールスタートのニーズにも応えられるようになっている。

 今後はパートナーが開催するイベントやセミナーに積極的に参加し、認知度を高めていく。積極的にエコシステムを構築しつつ、ユーザーとの接点を拡大したい考えだ。(銭 君毅)